看護実践情報

助産師

職能委員会の活動

方針

日本看護協会では、療養する高齢者だけでなく子どもを産み育てる人々、子どもたち等を含む全ての人々の生活を地域で支える地域包括ケアシステムの推進を「看護の将来ビジョン」(2015 年)に掲げています。地域包括ケアを実現するためには、あらゆる場で看護職が連携することが求められており、本会では今年度、看護機能連携システムの構築に取り組みます。

助産師職能委員会(以下、本委員会)は、全ての妊産婦と新生児に助産師のケアを提供し、彼らとその家族の健康な生活の実現に貢献するため、全国の助産師の力を結集し、変革を続けることを基本理念とし活動しています。本委員会ではこれまで下記3つに関する課題発見・意見集約を行い、本年度に向けた方向性を定めました。

1)安全・安心な出産環境の体制整備の推進

妊産婦が出産する病院の80%は産科混合病棟であり、助産師が産婦と他科患者を同時に受け持つ際は、妊産婦が助産師による十分なケアを受けにくい実態が報告されています。妊産婦が安全・安心に出産できる環境を整備するためには産科混合病棟におけるさまざまな実情について課題発見・意見集約が必要です。

2)子育て世代包括ケアシステムにおける看護機能の強化

NICU/GCUを有する医療機関において、日本看護協会が作成した「NICU/GCUにおける小児在宅移行支援パスと教育プログラム」がどのように導入・活用され、標準化した在宅移行支援が行われているか、課題発見・意見集約を行ってきました。医療的ケア児の発達・成長に伴い、これまで以上に地域や学校での体制整備が求められており、児の成長発達段階における各時期の看護提供体制について課題発見・意見集約が必要です。

3)周産期医療体制整備と助産実践能力強化に関する課題発見・意見集約

東日本大震災を契機に災害発生時の周産期医療体制整備について課題発見・意見集約を行ってきました。第7 次医療計画には災害時小児周産期リエゾンの配置や平時からの災害訓練の実施やネットワークの構築等が明記されており、各地で地震や水害等が発生していることから、周産期医療体制整備の一環として災害時の母子支援に関する取り組みについて課題発見・意見集約が必要です。

助産実践能力強化については、2014年よりCLoCMiPの導入・活用に向けて課題発見・意見集約を行っています。18年にはアドバンス助産師が1万2,000人となり、助産師のコアコンピテンシーの1つであるウィメンズヘルスケア提供においても助産師の役割発揮等が期待されています。女性を生涯にわたり支援するための助産実践能力の強化について、課題発見・意見集約が必要です。

目標・内容

1)出産環境の体制整備に関する課題発見・意見集約
  • 院内助産・助産師外来の推進に関すること
  • 産科混合病棟におけるケア提供体制に関すること
  • 出産環境の改善に関すること
2)医療的ケア児への看護提供体制の整備に関する課題発見・意見集約
  • 医療的ケア児を支援するための体制整備に関すること
  • 小児在宅移行支援に関わる人材の育成に関すること
  • 3)周産期医療体制整備と女性の生涯にわたる健康を支援するための助産実践能力強化に関する課題発見・意見集約
  • 災害時における周産期医療体制の整備に関すること
  • 働く看護職の妊娠・出産・育児に関連した支援に関すること
  • 女性の生涯にわたる健康を支援するための助産実践能力の強化に関すること

資料

2019年6月7日に開催した全国職能交流集会の検討資料はキャリナース内の「資料室 > 職能集会検討資料」からご覧いただけます。

集会・会議

【2019年度 第1回(8月21日)】

目標と問題を可視化グループワークの学びを活動へ

井本寛子委員長(=写真)は、委員長あいさつで助産師職能が抱える課題などに触れ「院内助産・助産師外来については、医師の働き方改革、タスクシフトといった追い風に乗って、体制をつくっていただきたい。また、都道府県の医療計画に院内助産・助産師外来、アドバンス助産師数などの記載があるかを確認し、ない場合は中間評価の際に意見してほしい」と呼び掛けた。アドバンス助産師については「来年は更新申請もあるため、準備をお願いしたい」と、都道府県内での注意喚起を求めた。

その後、2019年度重点政策・重点事業と助産師職能委員会の活動方針を説明した。重点政策については、母子のための地域包括ケア病棟(仮称)モデル事業の委託先医療機関が決定したことや、医療的ケア児を支援するための看護職の現状と課題を整理していることなどを報告した。

続いて有限会社ノトコード代表取締役の平林慶史氏が登壇し「助産師職能委員長が各都道府県の実情に沿った助産関連の課題を発見するために」と題した講義を行った。
平林氏は「自組織(=都道府県看護協会助産師職能委員会)にとっての『顧客』は誰なのか。都道府県内の助産師なのか、妊産婦なのかなどを具体的に設定し、顧客ごとに異なるニーズ分析を行い、目標や問題を可視化することが大切」と述べた。グループワークでは「顧客ニーズ分析」シートを利用し、院内助産などテーマを設定、現状と目標とのギャップを埋めるためのステップを書き出すなどの作業を行いながら、チームで考えることを学んだ。
平林氏は「都道府県でこうした分析などを行い、月1回の委員会時などに、2カ月単位で1テーマずつ地道に取り組まれると良いのでは」と職能委員長の活動に期待を寄せた。