地域包括ケアにおける看護提供体制の構築

助産外来・院内助産実践施設の紹介

国家公務員共済組合連合会浜の町病院(福岡県福岡市)

  • 病床数:520床(産婦人科33床うち院内助産1床)
  • 年間分娩件数:24件(2008年度、院内助産)
  • 産科病棟職員数:<常勤>助産師21人、看護師4人

国家公務員共済組合連合会浜の町病院(福岡県福岡市)

2002年から助産外来の検討を始めたという、国家公務員共済組合連合会浜の町病院。2004年4月に導入後、2007年5月には院内助産も開始。社会の動きに先駆けて産科医療の問題に取り組み、地域の中核病院としての役割を果たしてきた。

看護部の基本理念は「患者に寄り添う看護」。2003年に妊婦健診の満足度調査をしたとき、出産に不安を持つ妊婦が増えていること、エコー実施の希望者が多いことが分かった。助産師たちは医師に助産外来の開設を提案したが当初は反対する声もあった。

地道な努力で助産外来がスタート

調査の前年となる2002年、上野恭子助産師長は、自主的に超音波研修に参加した。助産外来は「妊婦さんの要望を聞き、不安を取り除くチャンス」と考え、開設に向けてほかの助産師にも声を掛けた。3年で5人が研修を受講。医師の前で実際にエコーを実施し、同院の産科医も信頼する超音波指導医を院内研修の講師に招くなど、開設への理解が得られるよう努めた。上野さんは「準備や努力を重ねる中で、医師の反応も変わってきた」と振り返る。

現在、助産外来は週3日、午後に行われている。担当するには、3年以上の経験を持ち、超音波研修を受けていることなどが条件。妊婦がじっくり話せるよう、1回で60分の時間を確保しており、評判は上々だ。

院内助産の将来を見据えて

助産外来の実績を受けて、院内助産の開設には医師の強力なサポートも得られた。これまでに53件の出産があり、産後のアンケートでは母親全員が「満足」と回答している。

一方で、上野さんは「今後は、助産師が行えることの範囲を明確にしていく必要がある。医師との協働の在り方を考えていくためには、助産師にも専門性を高め続ける意欲が求められる」と指摘する。

言葉どおり、同院では卒後教育に力を入れており、これまで研修への参加や研究の実施を積極的に支援してきた。院内研修には、約600ある連携病院・クリニックの看護職も参加できる。

福岡県看護協会の会長も務める神坂登世子副院長・看護部長は「院内助産は、全病院的取り組み」と、助産師たちの歩みを見守りながらも「課題は、人材の育成。院内助産が病院全体のシステムとして定着しなければならない」と話す。

同院では2002年から、助産外来や院内助産の成果や課題を学会などで発表してきた。先駆的な取り組みを続ける中で、助産師たちの高い意識が引き継がれていく。

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医療法人財団パルモア病院(兵庫県神戸市)

  • 病床数:70床(産科48床うち院内助産2床)
  • 年間分娩件数:16件(2008年度、院内助産)
  • 産科病棟職員数:助産師<常勤>21人、<非常勤>1人

医療法人財団パルモア病院(兵庫県神戸市)

「女性と子どものための病院」として、年間約1,000件のお産があるパルモア病院。2007年、ユニセフ・WHOが提唱する「母乳育児成功のための10カ条」を順守・実践する病院として「赤ちゃんにやさしい病院」に認定された。基本方針には、心の通った医療を提供し、安心で安全なお産・育児を支援することなどが挙げられている。

妊婦たちの声に応えて

2007年2月に始まった、同院の院内助産。2008年度は16件、今年度も8月までで11件と、順調に実績を伸ばしている。院内助産を取り入れたのは、同院に通う妊産婦の「自然なお産がしたい」とのニーズに応えるためだった。妊産婦の希望をかなえ、よりよいケアを提供することと、助産師の専門性を発揮することを目的に、看護部課長で助産師の青山恭子さんらが中心になって準備を進めた。青山さんは「開設後、院内助産を選択したお母さんから『院内助産は、赤ちゃんの安全と私の安心を考えた結果です』と言われたことがうれしかった」と語る。産後のアンケートでは、母親の満足度も高い。

ただ、院内助産や助産外来の設置時には、さまざまな経費が必要となるのも事実だ。そこで、2008年度から厚生労働省と各都道府県が、助産外来・院内助産設置のための事業の一環として、院内助産や助産外来の改装費用と機器の購入費用の一部を助成している。同院も、この制度を利用して設備を整えた。

求められる助産師像とは

同院では、院内助産を担当できる助産師の目安として、5年以上の臨床経験を挙げている。卒後(入職)1年目から5年目までは、各年ごとの到達目標や修得項目を細かく設定した年間教育プログラムに沿って経験を積んでいく。異常時に、助産師の正確な判断や対応が求められる院内助産で、それぞれが着実にキャリアを積んでいけるように体制が整備されている。

一方、助産師個人の能力の育成とともに、施設全体の理解を得ることも必要だ。空田真知子看護部長は「助産師だけでなく、病院全体で院内助産を支援しています。医師や産科病棟のスタッフがいるからこそ、安心して院内助産に取り組める部分もありますから」と、連携の重要性を語る。これからの助産師に求められるスキルは、との問いに、青山さんは「コミュニケーション力ですね」と答えた。医師や医療スタッフ、そして患者をつなぐ助産師の役割に大きな期待が寄せられている。

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市立伊丹病院(兵庫県伊丹市)

  • 病床数:414床(うち院内助産2床)
  • 年間分娩件数:産科29件(2008年度、院内助産)
  • 産科病棟職員数:助産師14人、看護師10人
  • 院内助産の開設:2007年

市立伊丹病院(兵庫県伊丹市)

1957年に開院し、半世紀以上、地域医療を支えてきた市立伊丹病院。2007年、助産師たちが声を上げ、新たに助産外来と院内助産を開始した。

スタッフ間の意思統一が準備の鍵

開設のきっかけは、もともと4人体制だった医師が3人に減ったことと、産科当直医師の確保が困難になったことだった。2006年には一時、分娩制限を設けることになるなど危機感が高まるなか、助産師たちは「自分たちの目指すお産を、自分たちの手でやりたい」と助産外来・院内助産開設のための企画書を作成。その年の10月、病院に提出した。

12月に事務職も含めたプロジェクトチームが立ち上がり、翌年4月には助産外来、6月には院内助産が開設された。水口留美子看護部長は「短期間で院内助産が始められたのは、助産師が以前から企画を進めてきたおかげ」と振り返る。

助産師の杉本文子さんは「日ごろから関係職種も含めた意見交換を活発に行っていたので、体制づくりもスムーズに進んだ」と語る。「院内助産を始める際には、スタッフ間の意思の統一が一番大事では」とも。今でも毎週、病棟全体の症例検討や医師とのカンファレンスを行い、マニュアルにも反映させている。

継続した母子のケアに手応え

現在、同院では自然分娩を基本に、年間200〜300件のお産がある。院内助産での分娩は、2007年度の14件から2008年度は29件と倍増。着実に実績を積み重ねている。

同院の強みは、産婦人科外来と病棟が「一看護単位」になっていること。病棟、外来が一体化した人員配置のため、外来通院から入院、退院後の育児支援まで継続したケアができる。また、産科とNICUが一つのチームとして、妊娠から産褥期までの母子をトータルにケアしている。特に院内助産では、助産師が継続してお産にかかわることで、母親と信頼関係を築くことができ、産後の経過を見ていく上で手応えを感じられるという。

最近は、人材を募集するとき、院内助産や助産外来に関心があって応募してくる助産師が増えてきた。立ち上げにかかわった助産師長の永松成子さんは、「院内での研修システムの体系化などで、新しいスタッフへの教育支援を充実させたい」と、新たな目標を掲げている。

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済生会 宇都宮病院(栃木県宇都宮市)

  • 病床数:644床(うち産科病床数32床、院内助産4床)
  • 年間分娩件数:産科1,179件、院内助産56件(※開設以降2009年6月末日まで)
  • 産科病棟職員数:助産師33人(院内助産6人含む)、看護師5人
  • 院内助産の開設:2008年11月

済生会 宇都宮病院(栃木県宇都宮市)

済生会宇都宮病院では、本会の定義する「院内助産」が「バースセンター」と呼ばれている。病院の最上階、9階にあり、2008年11月に4床が開設された。
利用する妊産婦は、晴れている時には男体山まで見渡せる大きな窓のあるバースセンタークリニックで、ゆっくりとケアを受けることができる。出産を迎える時には、広いベッドと風呂のある洋室(個室)=写真で、家族と共に自由な体位で産むことができ、産後もその部屋で赤ちゃんとの生活をスタートさせる。

10年以上温めた構想の実現

「産科医長として着任した10年以上前から温めてきたバースセンター構想ですが、病院経営陣の理解と産科病棟の看護師・医師カンファレンス(NDC)の積み重ねによって、今回の開設につながりました」と飯田俊彦産婦人科診療科長は熱く語る。開設に向けては、産科医師2人、看護副部長・病棟課長各1人、助産師3人からなるプロジェクトチームで準備してきた。バースセンターの適応基準などは、ドクター・カンファレンスやナース・カンファレンスで協議し、最終的にNDCで承認し作成された。

助産師のキャリアパスのひとつとして

担当助産師は、院内の中央検査室の技師と一緒にエコーの技術修得、助産院への院外研修(4泊5日)、産科病棟で医師が立ち会わない助産師主導の分娩介助をとおして、開設に向けて準備した。

バースセンターでは、母児中心のケアを十分に提供することができるため、担当助産師のモチベーションの向上につながっている。「一貫した妊産婦管理を行い、信頼関係を築いて分娩に至るプロセスにやりがいを感じます」と、同院の助産師たちは話す。出産した母親、家族の評判も良い。直井知子産科病棟課長は「今のところ、バースセンターの対象者は正常妊娠の方のみ。病院内の設置という特性を生かして、対象をどこまで広げられるか、医師との協議で検討していきたいですね。バースセンターが、産婦人科病棟で働く助産師の中で、キャリアパスの目標として位置付けられるようになれば」と、さらなる推進への意気込みを語った。

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特別・医療法人 愛仁会 千船病院(大阪市西淀川区)

利用者の9割が"満足なお産"プロとして、本来の役割果たす

  • 病床数:292床
  • 産科病床数:41床
  • 年間分娩件数:1,167件(2007年度)
  • 産科病棟職員数:助産師51人
  • 院内助産の開設:2007年5月

特別・医療法人 愛仁会 千船病院(大阪市西淀川区)

「院内助産院を開設したきっかけは、産科医不足が原因ではありません。助産師本来の役割責任を果たし、プロとしての観点で始めたものです」と千船病院の伊藤成規院長は言い切る。

院内助産院の前身である助産師外来を始めたのは1998年。「その人のバースプランに近い形でのお産の介助をしたい。学生時代に学んだ継続事例のようなケアを実践したい」という助産師たちの強い希望があり、妊婦のニーズに対応すること、助産師教育の充実を図ることを目標に始まった。最初は経験10年以上の3人の助産師でスタートしたが、2000年には4年目以上の助産師(12人)に拡大。2から3年目の助産師についても先輩助産師とペアで受け持つようにし、9年間で約200人の利用者を得るまでに発展した。

積み上げてきた実績が評価され、法人としても「周産期看護の充実」を重点施策として掲げ、院内助産院開設の方針を打ち出した。2007年1月には産科医師、助産師、看護部、事務部からなるプロジェクトチームを設置。このメンバーが中心になり準備を重ね、小児科や検査科、栄養管理科をはじめ関連部署への説明も行った。

病院全体で取り組む風土が大切

「産婦人科医師の反対はなかったですし、むしろ協力的でした」と話す村越誉医師の言葉には、助産師たちの技術と実績への信頼が表れている。井上裕美子看護部長は「院内の部署が横断的に連携できたことが大きかった」と振り返る。内藤正子看護担当特任理事も「助産師だけが行うのではなく、組織として病院全体で取り組むという風土を育てることが大切」と、院内助産院設置の秘けつを語る。

その後は、他院への見学や学習会の開催、新生児蘇生やフリースタイル分娩などの研修会への参加、管理基準の作成など、スタッフの準備とシステムの整備を行った。設備に関しては、従来の自然分娩室を一部改良して使用。備品も専用の分娩監視装置や吸引器、保健指導用の骨盤模型などを揃えただけでコストを抑えた。これらの準備を経て、同年5月に本格的に院内助産院をスタートさせた。

信頼関係があるから任せられる

院内助産院のチーム構成は主任1人(11年目)、副主任1人(8年目)、スタッフ4人(6年目)の合計6人。いずれも100例以上の分娩介助経験を持っている。月〜金曜日に1時間枠で妊婦健診を行っており、料金は医師と同額の3,000円だ。内容は尿検査や体重・血圧・腹囲・子宮底測定、内診(必要時・希望時)、保健指導など。そのほか、参加型の産前・産後の両親学級も取り入れている。

分娩の介助は助産師2人で対応し、基本的に医師は立ち会わない。もちろん妊婦にもそのことを事前に伝え、出生証明書も助産師が記載する。村越医師も「医師と助産師の信頼関係があるから任せられる」と目を細める。現在、院内助産院が担当する分娩件数は1カ月で約15件。村田佐登美科長からは「産科医からはもっと任せたいと言われていますが、助産師側の体制がまだ十分でないため、応えられていない現状もあります」と“うれしい悲鳴”も。

実習施設でもあり、昼間の分娩は学生への指導が中心になる。必然的に助産師は夜間に取り上げることが多くなり、1から2年目のスタッフの件数が減ってしまう。若いスタッフを育てる上でも「将来的に、正常分娩の50%くらいは院内助産院が担当してほしい」と、内藤理事も期待を寄せる。

モチベーション向上で離職率は低下

助産師が主体的に取り組める実践はモチベーションも上がる。利用者へのアンケートでは「妊婦健診」「分娩」「乳房ケア」「育児について」「院内助産院 を選択して」のいずれの項目も9割以上が“満足”と回答し評判は上々。これまでは「正常分娩の介助は助産師だけで行いたい」という理由で開業助産院に移るなど、退職するスタッフも多かったが、院内助産院を始めてからは離職率も下がったという。

大阪府の地域周産期母子医療センターに認定され、臨床研修医にも人気が高く、何よりも地域住民からの信頼が厚い千船病院。軌道に乗った院内助産院も、2009年3月に設備面のリニューアルを予定している。スタッフも「超音波診断などの技術面を磨いて、1人でも多く介助できるような体制をつくっていきたい」(寺井治美さん)、「妊娠・出産だけでなく子育ても含めて、院内助産院を活用してくれた地域のお母さんに“私の助産師さん”と思ってもらえるようになりたい」(村田科長)と意欲的。ハードとソフト両方が充実し、今以上に地域から信頼される院内助産院になる日も遠くない。(取材:2008年10月24日)

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公立阿伎留医療センター(東京都あきる野市)

産科医師不足で分娩閉鎖の危機"地域の要請に応える方法は……

  • 病床数:310床
  • 産科病床数:31床
  • 年間分娩件数:155件(2007年度)
  • 産科病棟職員数:助産師常勤7人・パート3人・看護師7人
  • 院内助産の取り組み開始:2007年1月

公立阿伎留医療センター(東京都あきる野市)

東京・新宿駅から電車で1時間ほどにある公立阿伎留医療センターは、あきる野市・日の出町・檜原村による組合立の病院。2006年に施設を建て替え、病院名も「公立阿伎留医療センター」に変わった。

新しく、医療設備も整う病院だが、産科医師の退職に伴い常勤医師が1人となったため、分娩数の制限を余儀なくされた。産科医師が確保できない中、院内での救急対応ができず、分娩閉鎖の危機に立たされた。しかし、病院への投書には「どうしても、この病院で産みたい。他の病院へ行きたくない」という妊婦からの声がいくつも届き始めた。

立ち上げる助産師たち

この分娩閉鎖の危機に、助産師たちは妊婦の希望を受け入れ、助産師中心の分娩ができないかと考えた。院内助産の事例を収集し、研修や助産院への宿泊研修などに出向き、スタッフ間でその情報を共有化。「助産師会議」(後に病棟運営会議)も1カ月に1回行うようになった。

「お産が扱えないのであれば退職すると言う助産師が出てきました。離職を防ぐためにも、常勤医師1人だけで分娩を受け入れ続けるには、どうすればよいのかと考えました。幸運にも連携医療機関が見つかり、院内助産の体制をとることになったのです」と河田かおり看護長は当時を振り返る。

分娩に医師が立ち会う院内助産

院内助産の体制整備に向けては、院長などに要望し、院長・産科医師・事務次長を含めた「院内助産所検討委員会」が設置された。開始に向け、妊婦への分娩体制の説明の手順書や承諾書、搬送手順などの作成が行われた。2007年1月から常勤医師が1人の体制となる中で、院内助産の体制がスタート。産科医師1人では帝王切開もできず、正常妊娠・正常分娩のみを扱うことになった。院外へは事務次長から救急隊に体制の変更を連絡し、協力を依頼。連携病院には、院長・看護部長・産科医師が訪問し、協力を要請した。

外来では、ハイリスクになる妊婦を予測することが必要となり、そのような妊婦には転院のための説明に時間をさいた。助産師外来は院内助産スタートの2カ月前から始めていたが、正常妊娠でも助産師外来だけでなく、医師の外来も受診する。医師はエコーや諸検査、助産師は腹部の計測・触診・保健指導を行い、週1回、個々の妊婦についての検討会を開く。

同医療センターの特徴は、原則として、全分娩に産科医師が立ち会うこと。急変が予測される場合には、医師と相談して速やかに連携医療機関に搬送する。

吉村理医師は「常勤医師が1人でも常駐しているので、緊急医療処置が時間的にも物理的にも早くできるという利点があります。場合によっては、緊急帝王切開になることも想定しておく必要がありますので、必ず分娩に立ち会っています。院内助産で問題が発生した時には、医師が責任を負う必要があると、私は考えています」と語った。

助産師の体制整備と広報が課題

院内助産の開始にあたっては、LDR室(陣痛開始から産後まで過ごす部屋)を和室にして、フリースタイル分娩ができるように環境を整えた。今では、ほとんどの妊婦が和室での分娩を希望し、家族も立会えると好評だ。

助産師の勤務体制は、3交代勤務とは別にオンコール体制を開始した。待機料は平日1,000円、休日1500円、呼び出しがあった場合は緊急登院料2,000円と時間外勤務手当が支給される。川上道江看護部長は「助産師たちの熱意でもっている状況です。1カ月あたり1〜4回呼び出しが入りますが、翌日の勤務は予定通り入ることになってしまいます。マンパワーを増やしたいのですが、病床稼動率が低く、経営状況の問題があり、増員はなかなか難しいのが実状です」と悩む。

助産師の宮岡順子主査は「助産師の経験年数は10年以上の者がほとんどで、すべての助産師が助産師外来・分娩にかかわっています。ただ、全員がオンコール体制を取れるわけではありません。現在では常勤医師も3人に増え、分娩数が増加する中で、現在のような手厚いケアが、いつまで続けられるか……」と、懸念している。

同院の助産師外来の助産師指導料金は1,000円、母乳外来料金は2,100円、分娩費は38万円前後と、低めの料金設定となっている。ケアの内容に見合った料金の設定も課題のようだ。

「“院内助産所”という看板を掲げなくても、妊産婦の意向を尊重しながら助産師と産科医師がそれぞれの専門性を生かしたチーム医療をしています。お産難民を出さないために、安全で質の高いお産ができるようになるために、院内助産の取り組みは、社会的に広がっていくことでしょう」と荒川泰行院長。田邉忠男事務長は「地域住民に認知され、利用者が増えるよう広報活動を充実させていきたいですね」と、ホームページでの情報提供の充実などを進めたいと意欲を見せた。 (取材:2008年10月27日)

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