研修修了者の実践例

土井久容_1727x1295

病院土井 久容さん

所属施設・部署 神戸大学医学部附属病院 腫瘍センター/通院治療室
修了した特定行為区分 ・栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
患者に提供する医療・看護の質の向上のために

がん化学療法認定看護師として活動を始めて10年目の節目を迎えた時に、特定行為研修が日本看護協会神戸研修センターで行われていることを知りました。
日頃の活動を振り返った時に、手順書の活用により、タイムリーなアセスメント・対応が可能となったら、患者の待ち時間・病院滞在時間の短縮ができるのではないか、と考えました。海外研修でNurse Practitionerなどの活動を見学した際にも、アセスメント能力の向上や自律的な判断の重要性を認識していたので、患者のニーズへの対応と自身の実践能力の向上を目指し、研修受講をしたいと考えました。
大学病院には医師も多く、特定行為実践の必要性については疑問の声もありましたが、患者の病院滞在時間が長く疲れ切っている日頃の様子から、タイムリーな特定行為実践はやはり必要だと考え、看護部や診療科の医師などと必要性や修了後の活動の相談を行い、受講に至りました。

患者へのタイムリーな対応が可能に

研修では、フィジカルアセスメントと臨床推論の学びが大きく、アセスメント力をつけるための研修だったと思います。また医療安全についても、看護実践をする上での法規定などを改めて学んだことも重要でした。
いずれも、これまでの実践経験と結びつけながら学びを深めることができました。医師による実践的な研修や、常に自施設でどういう活動をするかを問われるなど、実践に直接かつ生かすことのできる研修でした。
修了後も、研修受講前と同様に通院治療室と腫瘍・血液内科外来で活動をしています。研修で身に付けたアセスメント力を活用して、がん薬物療法中の患者にタイムリーな補液を実施できることは、脱水や腎障害の予防など、副作用のマネジメントにつながっています。また、造血幹細胞移植後の患者についても、腎障害への補液をタイムリーに行えるため、全身状態の回復時期が早まったり、患者が安心して治療を継続できることにつながると期待しています。
フィジカルアセスメントを活かして把握する情報量も増えたので、日頃の看護に生かせるよう他の看護スタッフと共有しています。

研修受講を実践に活かすポイントは

研修受講で、看護が深まり、やりがいを感じることができました。活動がより一層楽しくなったと思っています。
この研修は受講後の実践にどう活用できるかがポイントです。そのためには、受講前に、施設のニーズを踏まえ、自分の役割や、何ができるかを明確にしておくことが必要だと思います。
研修受講前から、施設内で看護部や医師に制度や活動を説明する機会をいただきました。また、手順書は、実習中に医師・看護部と調整して作成し、修了後も医療安全の観点からの調整や、薬剤の処方・入手の方法の検討、委員会での検討・承認など、組織として安全に行うための手続きを丁寧に合意形成し進めました。自分が学んだことをするということではなく、患者への医療の質の向上というゴールに向かって調整していくことが大切です。
施設によりニーズは異なるので、修了者自身が「実践の道」を切り開いていく必要があると思っています。