看護職の役割拡大の推進と人材育成

救急看護認定看護師

基本情報

所属
岐阜大学医学部附属病院(岐阜県)
実践者

辻 俊行さん(副看護師長)

  • 【修了した特定行為区分】
  • 呼吸器(気道確保に係るもの)関連
  • 呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連
  • 動脈血液ガス分析関連
  • 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
  • 循環動態に係る薬剤投与関連
  • 【受講理由】
  • 当院は、岐阜県の基幹病院として特定行為研修の指定研修機関や協力機関としての役割が求められている。看護部長から特定行為研修の指導者となることを期待され、受講の推薦を受けた。自身も指導者としてだけではなく、院内の看護の質を向上するために、役割拡大を図りたいと考え受講した。
看護管理者
廣瀬泰子さん(副病院長・看護部長)

<実践例>院内急変患者に対する迅速かつ的確な判断と特定行為実践による重症化予防

急変にかけつけ、動脈血液ガス採血、人工呼吸器設定変更。急性肺障害改善

脳腫瘍術後の呼吸管理のために人工呼吸器を装着していたが、突然、呼吸状態が悪化し、院内急変システムが発動された。
ただちに、病棟に駆けつけ、患者の呼吸状態についてフィジカルイグザミネーション、及び診療記録や主治医・看護師から情報収集を実施した。その結果、気管チューブの位置が浅いと判断し、手順書を基にチューブの位置調整を医師とともに実施した。
その後も呼吸状態は改善しなかったため、急性肺障害に伴う肺胞低換気を引き起こしている可能性があると判断し、手順書を基に動脈血液ガス採血を実施した。採血結果を踏まえて人工呼吸器設定を変更したことで、呼吸状態は改善した。
その後、病棟看護師に、本事例の病態判断と実践内容について説明し、今後予測される変化と観察項目、その対応策について伝えた。
特定行為研修での学びを活かして、患者の重症化予防を図ることができただけではなく、病棟看護師とのやりとりを通じて、急変後の患者管理に伴う看護師の不安を解消し、安全な医療・看護の提供に貢献することができた。

今後の展望

今後は、特定行為研修の実習生を受け入れる場合の教育・調整能力の向上を図るとともに、自身の臨床における臨床推論力・病態判断力を更に磨いて、現任の看護師教育に活かしていきたい。

看護管理者の声

修了後、経験を積み、特定行為研修の実習指導者へ

当院では平成28年3月に1人目となる特定行為研修修了者を得た。
その後、特定行為を修了した認定看護師には、引き続き研修期間を設けて配属部署である高度救命救急センターで経験を積ませている。
特定行為研修修了者の活用方針は、現在、検討段階ではあるが、臨床で特定行為研修を修了した認定看護師が挙げる成果は、確実に部署教育における質の向上につながっている。
また、平成29年1月には、日本看護協会が実施する特定行為研修の実習協力施設として研修生1名を受け入れた。その際には、実習指導者として、実習計画・指導医師との調整・実習の評価等の役割を果たしている。
実習中は、看護管理者として、実習指導に専念できるように勤務体制を配慮したことで、常に実習生の傍で指導にあたり、実習生の不安軽減も図れた。

特定行為研修準備委員会で開設準備を

現時点における特定行為研修修了者の活用は、院内の看護の質向上と、看護の専門性を踏まえたうえでの医行為実施の範囲である。今後は、組織横断的な活動へと活動範囲を拡大させたい。患者にとって、タイムリーに安全な患者の意思を尊重したケアを提供できることは、非常に有益なことである。

更にその先には、在宅医療の場においても役割拡大できる看護人材を育成し、地域に貢献できる活用方法を検討していきたい。当院では、特定行為研修準備委員会を組織して、開設準備等検討を重ねてきたが、未だ様々な課題がある。今後は、更に院内外における特定行為研修を修了した認定看護師の活用について、他施設の報告も参考にしつつ、医師や地域の医療機関関係者、さらには県行政担当者等と踏み込んだ話し合いをしていく必要がある。特定行為を活用する認定看護師が安心・安全に、役割拡大できる環境を整えていきたい。