看護職の役割拡大の推進と人材育成

集中ケア認定看護師

基本情報

所属
川崎医科大学総合医療センター(岡山県)
実践者

富阪幸子さん(看護主任)

  • 【修了した特定行為区分】
  • 呼吸器(気道確保に係るもの)関連
  • 呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連
  • 動脈血液ガス分析関連
  • 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
  • 循環作動薬に係る薬剤投与関連
  • 【受講理由】
  • 主治医不在時の治療の停滞や、変化する患者の状態へ、タイムリーに対応できていないジレンマを感じる中で、特定行為の必要性を認識し受講を目指すきっかけとなった。
看護管理者
新 美保恵さん(看護部長)

<実践例>緊急手術患者の全身状態にあわせた人工呼吸器離脱

手術後、夜間ICU入室患者の不安に対応しつつ、朝までに抜管準備完了

図1:特定行為実践:人工呼吸器からの離脱

50代男性で急性大動脈解離のため、上行大動脈置換術を施行し、夜間にICU入室となった。循環動態が安定した段階で、医師より「人工呼吸器からの離脱」の指示があり、手順書を基に介入を開始した。鎮静薬の減量に伴い、創部痛の自覚と不安な表情と共に、呼吸回数の増加を認めた。術後の病態生理学的な経過と現在の状況、治療方針について丁寧な説明を行った事で、患者は挿管中であるという事を認識でき、安堵し呼吸回数の安定を認めた。創部痛に対して手順書による迅速な薬剤調整を行い、疼痛緩和後、深呼吸を促し排痰を促進した。患者の呼吸機能をアセスメントし人工呼吸器の設定を段階的に変更した事で、翌朝の医師の回診時には最終設定まで完了し、その後抜管できた。
特定行為の実施による「患者の状態に応じたタイムリーな対応」と「人工呼吸器装着時間の短縮」によって、人員が充実した時間帯での抜管やその後の状態観察の時間を十分に確保できるなど、安全な医療の提供にも貢献することができた。

今後の展望

特定行為研修修了者が、最大限活用される為の院内の基盤作りを行い、成果を可視化していきたい。
更に、当院からの退院となる患者から在宅訪問を行う等、地域へ活動を拡大させたい。

看護管理者の声

特定行為を磨き、チーム医療の要に!

研修受講後、自施設で十分に実践できる環境づくりとシステムを構築し、特定行為実践数は、侵襲的人工呼吸器設定変更8件/年、人工呼吸器からの離脱16件/年、Aライン確保30件/年であった。あくまでも看護の視点を基盤にした実践であり、患者に対してタイムリーかつ十分な説明と患者自身のセルフケアを尊重した行為であり、医師と看護師間のコミュニケーションの促進にもつながっている。

更に、他領域の認定看護師と協働で行っている重症者ラウンドにおいては、急変の兆候をいち早く捉え、重症化回避となった事例が2年間で117件であった。チーム医療においても、フィジカルアセスメントや臨床推論を活かして積極的に発言している。

委員会で手順書作成・共有、実践件数と評価を

図1:特定行為研修修了後の実践プロセス

受講後は当学校法人で実施している特定行為研修教育機関の指導者として講義や演習・実習を支援している。また特定行為実践看護師(当院での呼称)のリーダーとして、後輩育成や活動範囲の拡大に向けた体制づくりを行っている。

研修修了者の活動支援のため「看護師特定行為実践委員会」を病院の委員会として設立し、行為ごとの手順書の作成と共有、実践件数と実践評価のフィードバック等をしている。

今後は、活動を在宅療養の場に拡大していく方策と地域内の看護師特定行為修了者とのネットワークづくりを進めていきたい。