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協会ニュース 2019年11月号
タスク・シフト/シェアに向けた議論始まる

10月23日、厚生労働省は第1回医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会を開催した。構成員として、日本看護協会から齋藤訓子副会長が、また岩手医科大学看護学部特任教授の立場で秋山智弥副会長が参加している。
2024年4月には、医師の時間外労働の上限規制が適用される。医師の働き方改革に関する検討会などでの議論を受け、本検討会では、現行制度の下で医療専門職のタスク・シフティングを進めるとともに、専門職がそれぞれの能力を生かして能動的に対応できる仕組みの整備について話し合われる。そのため、まずは2024年までに実施すべき事項を優先的に検討し、その後、暫定水準が撤廃される2035年に向けて検討を続けるという方向性が共有された。また、現行制度で①実施が可能な業務②明確に示されていない業務③実施できない業務―に分けて議論を進めることについても意見が交わされた。
齋藤副会長は「2035年の状況を踏まえると、現行制度を超える仕組みについての検討も必要」と指摘。「(医師の指示が必要な)特定行為研修制度だけでは、限界がある。地域医療の観点も含め、長期的には新たな制度創設も視野に入れてほしい」と主張し、ナース・プラクティショナー制度創設についての検討を求めた。
11月8日に行われた第2回では、厚労省の事務局が①と②の業務内容を整理し、通知などで明確化することを提案した。③の現行制度では実施できない業務については、3つの要件(a. 各資格法の資格の定義とそれに付随する行為の範囲内か、b. 従来業務の技術的基盤の上にある隣接行為か、c. 教育による安全性の担保の可否)を満たす場合には、法改正なども検討してはどうかとした。
齋藤副会長は、3要件以外に「行為の侵襲性も検討の視点に含めることが必要ではないか」と述べた。さらに、「療養上の世話をタイムリーに行うための薬剤の使用」という本会の提案を推進すべきという他の構成員の意見に対し、齋藤副会長と秋山副会長も賛同した。
また、秋山副会長は、救急救命士が院内で救急救命処置を行うことが、要件aに該当するという提案に対し「現行法令上、院内での処置が該当することは考えにくい」と発言し、事務局に説明を求めた。事務局は、行為に着目しており、処置を行う場については整理が必要だと回答。ほかの構成員からも、救急救命士が行うことについて「安全性を担保するには教育の大幅な拡充が必要」「まずは看護師を配置する方策を検討すべきではないか」などの意見が出され、事務局は、本項目について引き続き検討を行うとした。