お知らせ

協会ニュース 2019年4月号

2019(令和元)年度 通常総会提出議題特集 
「看護の力で健康な社会を! 〜Nursing Now〜」 6月6日 北海道・函館アリーナ

日本看護協会会長に就任して間もなく2年がたちます。社会が大きく動き、社会保障の領域でも“聖域のない”改革が進められている中、一方通行の提言・提案にとどまることなく、対話と相互理解をモットーに活動を展開してきました。

そして今、ナイチンゲール生誕200年となる2020年に向け、世界各国で、WHO(世界保健機関)とICN(国際看護師協会)が賛同する「Nursing Now キャンペーン」への取り組みが広がっています。

看護職が一層活躍し人々の健康に貢献するために、看護職が適切に評価され、保健医療政策に影響を及ぼすことができる環境を整えることを目指して、本会は日本看護連盟と連携し、「看護の力で健康な社会を!」をメーンテーマに、2020年末まで本キャンペーンに取り組んでまいります。

2019年度の重点政策・事業

看護基礎教育制度改革の推進

療養の場が多様化し、さまざまな場で実践する全ての看護師に高い能力が求められる中、看護師になるためには最低4年の基礎教育が必要であることは明白です。2019年度は、4年制化実現に向けた戦略と工程を明確にし、都道府県看護協会と連携した取り組みを強化するとともに、昨年度に引き続き、全国で「看護師基礎教育を考える会」を開催するなど、合意形成に向け取り組みます。

准看護師については、養成停止を目指す本会の方針に変わりはありません。安全な看護提供に向け、「看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド」の臨床現場での活用促進に取り組み、看護職・患者・家族にとって、安心・安全な看護実践を推進します。

地域包括ケアにおける看護提供体制の構築

2025年の医療・介護ニーズを見据えた地域医療・介護提供体制の整備がいよいよ正念場です。2019年度は、地域の医療機関、訪問看護ステーション、行政などの看護職が連携し、地域の課題解決や新たなサービスの創出に取り組むモデルを構築する事業をはじめ、看護小規模多機能型居宅介護などを活用した地域共生拠点のあり方を検討する事業に取り組みます。

また本会では、訪問看護の量と質の向上に向け、「訪問看護師倍増対策」を検討してきました。これを受け、①地域における訪問看護推進の支援方策の検討 ②訪問看護ステーションの管理者の育成に取り組みます。加えて「日本看護サミット2019・訪問看護サミット2019」を日本訪問看護財団と共催で実施します。

母子に対するケアについては、安全で安心な出産環境の体制整備と妊娠期から子育て期までの切れ目ない助産ケア提供体制を提案するため、「母子のための地域包括ケア病棟(仮称)」の検討に取り組みます。また、医療的ケア児の支援のあり方に関する方針の検討、地域で保健師・助産師・看護師が連携して関わる体制の強化に取り組みます。

看護職の働き方改革の推進

医療・看護の必要な場に、質の高い人材を安定的に確保するためには、働き続けるための環境整備が不可欠であり、「働き方改革関連法」の施行など、労働環境の改善を後押しする政策の動きもあります。2019年度は、看護職の労働の実態を把握した上で ①各組織が看護提供体制を継続的に維持するための働き方モデル ②新人から定年退職後の看護職までが、一人一人の看護職が生涯にわたり健康で安全に働くための働き方モデルの検討を行います。また、ICT・AIなどを活用した看護業務の効率化・生産性向上に向け、先進事例の収集などを行います。

地域の多様な医療・介護ニーズに応じた看護職を確保するには、地域という視点が必要です。ナースセンターについては、現行の枠組みを超えた機能の拡大を検討します。

看護職の役割拡大の推進と人材育成

新たな認定看護師制度の開始に向け、現行の認定看護師の移行支援として、特定行為研修の受講を推進していきます。また、2020年からの特定行為研修を組み込んだ新たな認定看護師教育の開始に向けた準備を行います。 。

特定行為に係る看護師の研修制度は、引き続き必要な体制整備などに関する周知と理解の促進など、本制度の活用の推進を図ります。また、在宅領域の看護師を対象とした特定行為研修を本会において実施することについても検討します。

人々の傍らで活動する看護職の医療的判断や裁量の拡大は、地域で人々が安全に安心して療養できることにつながります。ナース・プラクティショナー(仮称)制度の構築については、看護界における合意形成とエビデンス構築、制度創設に向けた働き掛けを行います。

全国の会員の皆さまの声を聞き、都道府県看護協会と連携しながら、一層気を引き締めてまいりたいと思います。私たち看護の力でこそ、健康な社会、健康な地域を実現できるということを、実践の場に、そして、政策推進の場に示していきましょう。