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協会ニュース 2019年1月号
政策実現へ大きな成果につなげる年に
【年頭所感】
日本看護協会会長 福井トシ子
2019年の年頭にあたり、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
昨年は、さまざまな制度改正がありました。中でも「働き方改革関連法」の成立とこれに続く具体的な議論では、医療に従事する専門職の“働き方”のみならず、役割分担や効率的な業務の在り方などにまで及ぶ広範な変化、影響が見込まれています。
制度的なインセンティブにより、労働環境の改善が進むことが期待されると同時に、波及的な変化・影響への準備性も高めなければなりません。
看護に関して言えば、「労働基準法」において5日間の年次有給休暇の取得が義務化されたと同時に「労働時間等見直しガイドライン」で勤務間インターバルの確保が努力義務化され、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」で、夜勤対応を行う医療従事者の負担軽減に言及されたことが、医療現場での改善の取り組みの後押しとなることが期待されます。
一方で、先行している医師の働き方改革の議論が看護業務に及ぼす影響について注視するとともに、これらの議論が私たちが推進している看護政策の中でどう位置付けられるかという観点からの検討・対応にも取り組まなければならないと考えています。
さらに大事なことは、規制などの有無に関わらず、質の高い医療・看護提供のために健全な組織、より良い労働環境の実現に積極的に取り組むことではないでしょうか。
日本看護協会では、2018年に「看護職の健康と安全に配慮した労働安全衛生ガイドライン」を公表し、患者・利用者の尊厳を守り、安全で質の高い看護を持続的に提供するための「ヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)」の推進に取り組んでいます。健康で安全に自分らしく働きながら自己実現ができる、組織が職員を業務上の危険から守り健康支援に取り組む、職員と組織の活力を生み出すことでケアの質を向上し社会への貢献を目指す。このような職場・組織風土を広く実現していこうとする時、病院管理者のリーダーシップは欠かせません。ぜひとも一緒に取り組んでまいりましょう。
そして2020年度より、現行の認定看護師制度に特定行為に係る看護師の研修制度を組み込んだ新たな認定看護師制度を開始します。一人でも多くの認定看護師に特定行為研修を受講いただけるよう支援を行い、新しい制度を通して一層社会に貢献してまいりたいと思っています。ご理解とご協力をお願い申し上げます。
平成の最後の年明けです。2019年度、本会では昨年度に引き続き、看護基礎教育制度改革の推進、地域包括ケアにおける看護提供体制の構築、看護職の働き方改革の推進、看護職の役割拡大の推進と人材育成の4つの重点政策に取り組みます。国の政策の動向なども踏まえ、看護職が人々のニーズに応えていくために、長期的には揺らぐことなく中長期的には時宜を得た柔軟な意思決定で、メリハリをつけて活動してまいります。
今年は「己亥」ということで、2つの字が持つ意味から読み解くと、「内なる充実を図り、次のステージの準備をする年」となるようです。
政策の実現は、戦略と日々の活動をつなげ、積み上げた先にあります。激動の昨今、十分な準備を怠らずに、大きな成果につなげる年にしてまいりましょう。関係の皆さまには一層の連携とご協力をお願いし、新年のごあいさつとさせていただきます。