先輩に聞く 訪問看護師の仕事

特別養護老人ホームの看護師は、どんな仕事をするのでしょうか。池田利英子さんの一日に密着しました。

この施設で暮らす人は60人ほど。身の回りのことが自分でできる人、一日中介護が必要な人、いろんな人がいます。「家族のような気持ちで接したい」と話す池田さん。やさしい声かけと笑顔が素敵です。ここでの看護は24時間体制。一日2交代で仕事をしています。施設には認知症の方もおり、体調が悪くても自分からそれを伝えることができない場合も多いので、一人一人の日々の健康状態をしっかり把握することが重要です。

池田さんたち看護師は、介護スタッフと連携して、健康状態の把握に努めます。朝と夕方には介護スタッフと打ち合わせをして、食事の量、水分補給が十分かどうか、排泄の状況などを確認します。入浴の時も、介助するスタッフに一人一人の体の状態について観察するポイントを助言し、問題があるとき、変化があったときにはすぐに相談を受けて対応します。急に熱が出たり、精神的に興奮状態になったり、そんな方たちへのケアも看護師が応じます。また、看護師の判断によっては、病院の医師と相談をして、医療を受けられるようにします。その他にも定期的な健診、毎日の薬の管理など看護師の仕事は多様です。

食事の時間、椅子に腰掛けたり車椅子に座って食べられる人は、広いリビングでみんなで一緒に食事をします。健康を保つために食事はとても大切です。普通の食事ができない人は、食べ物をミキサーにかけたりして、食べやすくしています。ここで暮らす人たちが食べる力を十分発揮できるように、というのが池田さんたちの願いです。しかしどうしても口から食事ができなくなる人もいます。そんな場合は、胃瘻(いろう)と言って、手術をして、胃にチューブで直接栄養補給ができるようにしています。胃瘻の人への食事の介助や口の中を清潔に保つための口腔ケアなどは、看護師が担当します。

胃瘻の人の食事介助をする池田さん。ゼリー状になった栄養分をチューブに送ります。食事が始まることを相手に意識してもらうために「いただきます」と池田さんが励ますように声をかけます。ここでは「生きる力を引き出す」、そんなケアが大事なんですね。

池田さんのインタビューから

<特別養護老人ホームで働く魅力>

「魅力は、ナースとして本当に細やかなところまで、看護ができるところかなと思うんですね。例えば、病院だとだいたいやることは決まっていますよね。ここだったら食べることからすべて、生活の場で、看護がかかわれます。そこに面白みがあります。人間は生まれたらいつかは死ぬ。最期を安らかに送ってあげられるということがここではできるので、そこに魅力を感じました」

協力:社会福祉法人 うらら
 特別養護老人ホーム みずべの苑