保健師のおもな仕事 保健師になるには

冬晴れの1月のある日、総合家電メーカー、パナソニックを訪ねました。横山淳子さんは企業で働く保健師。横山さんのように一般企業にも保健師がいて、従業員の健康管理をはじめ、メンタルヘルスや過重労働対策、健康づくりや職場復帰支援などさまざまな活動を行い、会社の従業員が心身ともに健康で充実した職業生活を送れるように支援する仕事をしています。横山さんは、保健師であると同時にパナソニックの従業員。従業員の健康を守る仕事は、産業医をはじめ、会社の人たちと一緒にすすめていきます。

さて横山さんの一日は……まずは社内の組織である安全衛生委員会による職場の安全点検が行なわれました。横山さんも委員の一人。事務所内が整理・整とんされているか、机の下、ロッカーや棚、パソコンの明るさなども確認して、従業員が安全で衛生的な環境で働いているかどうか定期的にチェックをしているのです。続いて安全衛生委員会の会議。横山さんは保健活動の成果や課題を報告し、従業員の健康づくりについて委員の人たちと一緒に知恵を絞ります。

お昼休み。会社の食堂に集まった大勢の人。ここで健康づくりの意識を高めてもらうため、横山さんたちはメニューや食べ方の工夫を提案しています。このときはメタボリックシンドローム対策に力を入れていました。食堂の隣のスペースでは「冬の運動会」と名付けた体力テストのイベントを開催。働いている人たちに気軽に参加してもらい、自分の健康状態に気付いてもらおうという催しです。保健師とともに安全衛生委員が運営を手伝います。<目をつぶって片足立ち>という項目に挑戦した人。足下がふらつき驚いたり笑ったり。参加者は楽しそうです。

会社のデザイン担当の従業員に依頼してポスターをつくったり、多くの人たちの「心をぎゅっとわしづかみにする」。そんなアイデアを日々考えるのも保健師の横山さんの仕事の一つ。非常階段の踊り場には、気軽にできる体操など健康づくりの情報が貼られていました。企業で働いてすでに20年以上のキャリアがある横山さん。「人は変わらないとあきらめてしまいがちですが、確実に人は変わります。こちら側の働きかけで必ず健康に目覚めていくのです。だからこそ、ちょっとやめられない仕事」と保健師の仕事の面白さをそう語ります。

横山さんのインタビューから

<企業で働く保健師の魅力>

「とにかく楽しくて、本当にやりがいのある仕事です。こちらが一生懸命伝えて行けば、健康づくりの大切さに気づいて、健康になりたいと言われるようになります。とにかく、一番目指しているのは、『健康になる事が楽しい』と思えるような風土作りです。保健師としてこの仕事に取り組むことに誇りを持っています」

協力:パナソニック株式会社