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看護倫理

日本看護協会

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看護職が書くブログの光と影 - 秘密保持義務の視座から

医療ブログが患者のプライバシーを脅かす

2008年8月28日ワールドヘルスニュースに「医療ブログが患者のプライバシーを脅かす」という記事が掲載されました。

「医療ブログが患者のプライバシーを脅かす」2008.8.28

【記事の概要】

米ペンシルベニア大学の研究グループが271の医療ブログの内容を分析した結果、56.8%に著者の身元を特定するのに十分な情報が含まれていることが判明した。

明らかな患者のプライバシー侵害はまれであったが、匿名であるはずの著者が地域、専門分野などの個人情報を明らかにすることによって、読者に身元が特定されてしまう可能性がある。

研究グループによると、「多くの医療ブログは一般に向けて価値ある情報を提供しており、丁寧な論調で、匿名で書かれているが、一部には患者のプライバシーを脅かすもの、医師としての品位を損なうおそれのあるものもある」という。

さて、あなたのブログは大丈夫ですか?

患者の個人情報を掲載してはいませんか?

看護職が書くブログの光と影

近年のブログの普及により、私たちは自らの知識や体験など様々な情報を、不特定多数の人に対して容易に発信することができるようになりました。

総務省の調査によると、2008年1月現在、インターネット上で公開されている国内のブログの総数は約1,690万であるとされています(表参照) 1)。

【表 ブログ総数・記事総数】
  ブログ総数
[万ブログ]
記事総数
[百万件]
インターネット上に公開されているブログ 1,690 1,347
1ヶ月に1回以上記事が更新されているアクティブなブログ 308 568

(2008年1月現在)

【出典】総務省情報通信政策研究所調査研究部:ブログの実態に関する調査研究の結果、2008

看護職のブログも少なくなく、検索エンジンで「看護師 ブログ」と入力すると、ブログそのもの以外も含めて、約15,800,000件がヒットします(2008年11月本会事業開発部調べ)。

看護職が書くブログは、看護職の仕事内容やその専門性を理解してもらったり、看護の知識を社会に広めたりすることができ、人々の健康の増進の一助にもつながるものであると考えられます。

しかしその一方で、ブログの多くは日記形式のため、個人的な日記に書かれるような私的な内容や感情が気軽に記載されることが多い現状もあります。

そのため、その内容によっては、看護職が書くブログは、仕事で関わる患者のプライバシーを侵害したり、職業人としての看護職の品位を損ねたりする可能性も高いのです。

書いている本人にはその意識がないことが多いため、長期にわたり知らず知らずのうちに大きな倫理的問題を引き起こしている可能性もあります。

これまであなたは、このようなことを十分意識していましたか?

ブログ上の倫理的問題

以下に、看護職が書くブログにおいて倫理的問題と考えられる行為の例を示してみます。

それぞれについて特に注意すべきこともまとめましたので、改めて確認してみてください。

【表 看護職が書くブログにおいて、倫理的問題であると考えられる主要な行為(例)】
  倫理的問題であると考えられる行為
患者のプライバシーの侵害にあたるもの 地名や病棟名を記すなど、著者がどこの施設に勤めているかを概ね推測できる状態で、患者の入院年月日や病状等を記載すること
患者やその家族について、本名や職業、家族構成などを記載すること
患者やその家族について、写真や動画を掲載すること
看護記録やそれに類する文書等を掲載すること
患者の病状や個人情報を含む会話等を記載すること
看護職の品位の損傷にあたるもの 特定の患者やその家族に対する中傷や批判を記載すること
医師などの他職種や上司・同僚に対する中傷や批判を記載すること
管理者等に報告していない、ヒヤリハット事例を記載すること
管理者等に報告していない、看護実践における自らの非倫理的な行為(自らの知識・技術の範疇を超えた業務の実施など)を記載すること
明確な根拠のない噂話などをもっともらしく記載すること
自らの向上心の無さや不勉強を自虐的に記載すること
看護職であることを明示したうえで、不道徳な日常生活等を記載すること
品位のない表現を用いること

上記のような行為に心当たりはありませんか?

日記形式のブログの場合、複数の日記にわたり、著者の自己紹介や患者の個人情報などが分散して記載されていることがあります。

同日の日記でなくても、それぞれの情報をつなぎ合わせることで容易に著者の所属施設や登場人物が特定できる場合もあるため、単独でも上記のような内容の記載はやめましょう。

また、看護職は「看護者の倫理綱領」という行動指針をもつ専門職です。個人的なブログであっても自らが看護職であることを公表している場合には、個人ではなく看護職として行動するべきと考えられます。

「看護者の倫理綱領」の各条文の範疇を超えるような専門職としての質や品位を損傷する表現や記述は避けましょう。

看護職として守るべきブログのルール

看護職は、免許によって看護を実践する権限を与えられた専門職であり、その社会的な責務を果たすため、看護の実践にあたっては、その対象となる人々の権利を尊重することが求められています。ブログ上でも同様です。

その具体的な内容については、法による外部規制と倫理による自主規制で示されていますが、法律で定められる看護職の秘密保持の義務とその罰則は以下のとおりです。

保健師助産師看護師法 (昭和23年法律第203号)

最終改正:平成18年法律第84号

第四十二条の二
保健師、看護師又は准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師、看護師又は准看護師でなくなつた後においても、同様とする。
第四十四条の三
第四十二条の二の規定に違反して、業務上知り得た人の秘密を漏らした者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

刑法 (明治40年法律第45号)

第百三十四条
医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

一方、倫理で自主規制される看護職の秘密保持は以下のような内容です。

看護者の倫理綱領 (平成15年、日本看護協会)

第五条
看護者は、守秘義務を遵守し、個人情報の保護に努めるとともに、これを他者と共有する場合は適切な判断のもとに行う。

患者のアドボケーターという看護職の役割を果たすためには、プライベートな時間を利用して作成しているブログであっても、専門職である前に一人の社会人としての他者への配慮を忘れずにいていただきたいと思います。

看護職が患者や社会から信頼される専門職であり続けるために、今一度あなたのブログも見直してみてください。

もし秘密保持に反するブログを発見したり、自身が被害を受けたりした場合には、法務省・地方法務局等に設置された「人権相談所」に相談する方法もあります 2)。

【参考文献】

1)
総務省情報通信政策研究所調査研究部:ブログの実態に関する調査研究の結果、2008年
2)
法務省「人権擁護局」ホームページhttp://www.moj.go.jp/JINKEN/

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