医療技術の進歩や人々の権利意識の高まり、価値観の多様化等により、私たち看護職は、多くの倫理的問題に直面するようになっています。
そのようななか、これまで看護職の業務の範囲を超えるものとされていた静脈注射が看護職の業務として認められたことや、医師の事前の指示に基づく薬剤の定期的・常態的な投与量の調整等が看護職に認められたことなどは、私たち看護職の新たな自律と、より高い専門性が求められる時代の到来を意味しています。
看護職が専門職としてより質の高い看護を提供するためには、深い知識と確実な看護技術だけでなく、高い倫理性が不可欠です。
そこで私たち看護職は、専門職として自らの行動を律するために、「看護者の倫理綱領」を定めています。
このように倫理綱領とは、専門職自身が専門職集団内部の人間の行動を規定する文書であり、専門職を専門職たらしめるものなのです。
日本看護協会「看護者の倫理綱領」(2003)は、2000年に国際看護師協会(ICN)が「国際看護師倫理綱領」(1973)を改訂し、「ICN 看護師の倫理綱領」を公表したことを受け、日本看護協会「看護師の倫理規定」(1988)を改訂・改題したものです。
「看護者の倫理綱領」は前文と条文、そして各条文の解説から成っています。
| 最初に前文を確認しましょう |
まず、看護の使命と目的が明記され、次いで免許により実践する権限を与えられている看護職が社会的責務を果たすために、人権の尊重が求められることが確認されています。 そして最後に、本綱領が看護職の行動指針、振り返る際の基盤となること、そしてその責任範囲を社会に対して明示することが述べられています。 ここに倫理綱領が単に看護職内部だけではなく、社会に向けての約束であるという性質が反映されています。 |
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| 次に条文を見てみましょう |
倫理綱領の15条文は図のように構成されていると考えられます。 一番上の楕円は人々に看護を提供する際に看護職が守るべき倫理的な価値と義務を表しています。 真ん中の楕円は上の条文に適う実践を行う上で重要となる看護職の努力に関する条文です。 そして最後の楕円には、これらの土台となる個人的徳性と組織的努力が含まれます。 このようにしてみると、一般に倫理綱領に含まれる3つの要素、すなわち価値、義務、徳が組み込まれているのがわかります。 |

日本看護協会では、「看護者の倫理綱領」の公表後、"看護職"に代わる用語として"看護者"を用いる傾向がありました。
しかし、2007年に公表された「看護にかかわる主要な用語の解説 - 概念的定・歴史的変遷・社会的文脈」 [ PDF 1.51MB ]において、免許を持ち職業として看護を行う者という意味合いにおいては"看護職"を用いることが望ましいということが指摘されました。
そこで、本サイトにおいても「看護者の倫理綱領」のタイトルおよび条文の引用以外は"看護職"を用いることとしています。