家庭と仕事の両立（妊娠・出産・育児、介護と仕事）

育児・介護休業法で事業主には3歳未満の子どもを養育する労働者に短時間勤務制度(1日6時間) の適用が義務付けられ、労働者から請求があれば、所定外労働・深夜労働の免除をしなければいけません。パートタイマーへの転換強要は論外です。
なお適用除外となる場合もあるので、まずは人事部に就業規則の育児支援の内容を確認しましょう。各都道府県労働局雇用環境・均等部（室）では相談、援助や指導、調停やあっせんを行っています。

都道府県労働局の一覧（厚生労働省）

残念ながらあなたの発言は管理職として不適切で擁護できません。育児・介護休業法は事業主に3歳未満児を持つ労働者への短時間勤務制度適用を義務付けています。
労働者の申立てを受けた都道府県労働局雇用環境・均等部（室）は、事業主に事情聴取し紛争解決を援助しますので、病院組織として誠実に対応してください。それ以前に自主的な解決が望ましいことは言うまでもありません。

職員本人の自発的希望があれば深夜勤務（労働基準法では午後10時～午前5時）の勤務は可能です。ただし、この時間帯の勤務を義務付けたり、強制することはできません。
小学校就学前までの子どもを養育する職員が、深夜労働の免除を希望した場合には、事業主は、その職員を深夜に労働させてはいけません（育児介護休業法第19条)。深夜以外の時間帯の勤務については法令上の制限はありませんが、子育て生活への配慮が必要です。

可能です。育児・介護休業法は育児短時間勤務を「1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むもの」としており、｢1日6 時間勤務｣を規定した上で、1日の勤務時間や勤務日数の選択肢を広げることはむしろ望ましいと考えられます。なお、正職員の所定労働時間の4分の3未満の勤務時間でも以下の条件を全て満たす場合は、社会保険の適用が必要となります。
①週の所定労働時間が20時間以上
②勤務期間が1年以上
③月額賃金が8.8万円以上
④学生以外
⑤従業員が501人以上

育児休業明けの年も有給休暇が付与されます。有給休暇は労働者の入職日から起算して6カ月継続勤務し、その間の全労働日の8 割以上出勤すれば発生します（労基法第39条1項）。
なお、育休も含め次のような休業の日は、出勤したものとみなされます。（1）業務上負傷または疾病の療養のための休業（2）育児介護休業法による育児・介護休業（3）産前産後休業（4）年次有給休暇取得日。人事労務担当部門に確認してください。

法的には、あなたは介護休業を取得できます。育児介護休業法は要介護状態の対象家族を介護する労働者に、対象家族1人につき通算93日を限度として休業する権利を定めています。対象家族の範囲は配偶者、子、親、祖父母、兄弟姉妹などです。
あなたの職場の規定は法律を読み誤って「要介護状態」を「介護保険制度の要介護認定」と混同していると考えられます。是正を申し入れましょう。

次の条件を満たせば給付金を継続受給しながら、勤務に就くことが可能です。(1)育休中の月ごとに受け取る賃金が休業前の8割未満であること(2)育休中の月ごとの勤務日数が10日以下であること。
育休中の職員の方が望んでいる程度の短時間・少数回勤務であれば、これらの条件に該当すると考えられます。育休明けの職場復帰をスムーズにする方策として、ぜひ活用してください。

2014年4月30日以降に産前産後休業が終了する方が対象です。産前42日（多胎妊娠では98日）、産後56日のうち、妊娠または出産を理由に休業した期間について、職員本人・事業主ともに健康保険・厚生年金保険の保険料負担が免除されます。手続きは、その職員の産前産後休業期間中に事業主が年金事務所に申し出ます。なお、この免除期間は、将来年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。

夜間保育の利用はあくまで職員の希望によるものです。院内保育所で夜間保育を行っているとしても、育児・介護休業法で定める3歳に満たない子を養育する職員の短時間勤務（原則1日6時間）や所定外労働の制限適用の申し出、小学校就学前の子を養育する職員の深夜業（午後10時～午前5時）制限の申し出を拒否することは認められません。
当然、夜勤の強要はできません。

育児・介護休業法は、小学校就学前の子を育てる労働者が申請したとき、年に5日（子が複数の場合は10日）を上限として子の看護のための休暇を与えるよう定めています。この休暇を有給とするか無給とするかは各事業所が就業規則で定めます。
まずは勤務先の就業規則を確認して、有休の利用も含めて上手な使い方を考えてみてください。子の看護休暇を一部有給にして利用を勧めている病院もあります。

1日2回、少なくとも30分ずつの育児時間を、勤務中のどの時刻に取るかは労働者の請求に任されています（労働基準法第67 条）。勤務時間の始めや終わりにまとめて取ることも可能で、実際に保育所への送迎のために利用する例も多くあります。
まずは職員の希望に応じて取得できるような職場のルールづくりが大切です。なお、育児時間を有給とするか無給とするかは、労使の話し合いに委ねられています。

育児短時間勤務（子が3 歳になるまで）は育児・介護休業法の規定によるもので、労働者の申請があれば認めなくてはなりません。
また、申請を相談された上司が、非常勤職員への転換などの不利益な取り扱いを示唆することはマタニティ・ハラスメントにあたります。2017年1月からは事業主にマタニティ・ハラスメント防止対策が義務付けられます。院内で解決が難しいようであれば、都道府県労働局雇用環境・均等部（室）の相談窓口に相談してください。

都道府県労働局の一覧（厚生労働省）

育児介護休業法は、就学前の子を育てる労働者が請求した場合の深夜業（22時～5時）の免除を定めていますが、深夜に就労していない16歳以上の同居家族がいれば免除対象外になります。しかし、同居家族が月4日以上深夜業をする場合は深夜に就労しているとみなされるため、あなたは免除の対象となると思われます。深夜業を含む夜勤免除や回数減をあらためて職場と話し合ってみましょう。

要介護状態の対象家族の介護や世話をする労働者は、事業主に申し出て年間5日まで、1日または半日単位で介護休暇を取得できます( 育児介護休業法)。対象家族は介護休業と同じく父母、配偶者、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫で、2週間以上常時、要介護状態にある方です。①介護保険の要介護2以上、または②判定基準を満たす状態が該当しますので、確認の上、人事部門にご相談ください。

介護休業の対象となる労働者（厚生労働省）

妊娠中に医師からの指導を守れるよう、事業主は必要な措置を講じなければなりません（男女雇用機会均等法）。具体的には妊娠中の通勤緩和（時差出勤、勤務時間の短縮など）、休憩時間延長、休憩回数の増加など、妊娠中または出産後の作業の制限、休業といった措置です。まずは時差出勤を申し出て、母体に負担の少ない勤務の仕方を話し合いましょう。なお、事業主に医師の指導事項がきちんと伝わるよう「母性健康管理指導事項連絡カード」の利用をお勧めします。

母性健康管理指導事項連絡カードについて（厚生労働省）