看護職の労働環境の整備の推進

人材育成
評価制度
処遇への反映 特徴
目標管理制度 基本給
(職能給部分)
賞与
  • 職員のニーズに応じた5つに分かれた職群(キャリアパス)を設け、職群ごとの職能要件を基準とした目標管理を実施。目標達成度は、職能給と賞与に反映。
  • 給与規定、評価基準、経営収支等はイントラネットで閲覧可能。
<その他特徴>
  • 院長の直下に師長を配置し、毎月の師長面接で職員意見を吸い上げる。
  • 入院受入れ・転院(退院)体制の充実で紹介・逆紹介率が高く地域から信頼。
  • 教育体制への高い職員満足度。

※断りのある場合をのぞき、2008年度データを使用しています。

給与制度

1.概要

年齢給と職能給を組合せ、生活保障およびスキルアップの両側面に対応した給与制度。目標管理制度にもとづく評価結果は、職能給と賞与へ反映される。業務の性格と質に応じた職群(グループ)を全職種共通で設定しており、職群ごとの職能給与表を適用。職群別・レベル別の要件は、職能要件書で規定している。

2.給与構成

基本給

基本給の構成は、(1)+(2)+(3)となっている。それぞれが給与表に基づいて決定される。

(1)年齢給:
18歳〜48歳までは毎年昇給。56歳から減給。
(2)職能給:
目標管理による習熟度評価の結果に応じて次年度の昇給率が変動。看護の質評価も反映。
(3)職種加算給:
若手のモチベーション維持・向上、離職防止が目的。看護師では20歳での支給額を上限とし徐々に減額となる。40歳まで支給される。
手当とその他の処遇
新卒看護師初任給 基本給: 大卒 199,830円(2010年度)
夜勤手当 2交代制 14,000円/回
職務手当(交代制勤務手当) 職務内容等を勘案して支給。
19,000円:交代制看護職員 など
14,000円:日勤看護職員 など
特殊勤務手当 夜勤専従看護職員 30,000円 など
役職手当 副院長130,000円、師長110,000円、主任80,000円(2010年度)
中途採用者の処遇 職歴・経験・年齢を勘案し職能資格等級の格付けを決定。1年半以内に職務遂行能力を再評価し必要に応じて等級を変更する。
短時間正職員の処遇 基本給:短縮時間に応じた割合で基本給(・諸手当)を減額。
賞与:短縮時間に応じた割合で減額。
定期昇給・昇格機会・退職金:フルタイム正職員と同様。

3.給与の決定方法

基本給

基本給は、年齢給+職能給+職種加算給で決定される。年齢給は、年齢給表に基づいて支給される。職能加算給は、若手職員のモチベーション維持・向上を目的とし職種加算給表に基づいて支給される。職能給は、目標管理による習熟度評価が反映されるもので、職能給表に基づき、自分が該当する○等級○号俸の額が支給される。看護職の初任職能給は准看護学院卒業者、専門学校(2・3年制)卒業者、高等看護学校(2・3年制)卒業者、専門学校(4年制)卒業者が2等級、大学卒業者、大学院修士課程修了者が3等級、大学院博士課程修了者が4等級と定められている。

昇給

目標達成度についての年2回の評価結果を総合し、次年度の職能給の昇降号俸数(SS=+4号俸〜D=-2号俸の6段階)を決定。3等級までは病院責任による職員育成期間とし、人事評価をせず毎年一律1号俸上がる。

昇格

自己希望により、年1回実施される昇格審査を受審し、合格すると職能等級がひとつ上がり(昇格)、職能給表のひとつ上の等級の初号俸へ昇給する。

<評価方法>

  • 職員自身が昇格審査の受審希望を申請する。
  • 10月に昇格審査を実施。評価者は、職能要件書を基準に、筆記・レポート・面接・適性試験による審査を行う。
  • 審査に合格すると昇格となり、職能等級がひとつ上がる。処遇面では、職能給表のひとつ上の等級の初号俸へ昇給し、給与額および号俸の上げ幅(ピッチ)が大きくなる。
賞与

年2回半期ごとに支給。全職員一律の算定方法が適用される「固定部分(60%)」と、評価結果で増減する「変動部分(40%)」で構成。半期ごとの評価結果を数値化し、それを評価係数として賞与の変動部分(40%)の算定に用いる。師長クラス以上の職員については、評価結果に応じてさらに役職位貢献部分(0〜20%上乗せ)がある。

固定部分
基本給+役職手当を基礎額とし、毎年の組織業績をもとに決定する年間支給率および出勤率を乗じて算出。
変動部分
基礎額に半期ごとの評価結果に応じた評価別支給率および年間支給率を乗じて算出。
その他
昇格
自己申請による昇格審査に合格すると、職能等級がひとつ上がり(昇格)、処遇面では職能給表のひとつ上の等級の初号俸へ昇給する。
職群制度による昇降給
自己申請による職群転換審査に合格すると、職群が変わり、転換後の給与は転換先の職能給表へ変更となる。原則として同等級の直近上位号俸の適用となる。転換方向によって昇降給がある。
「職群制度」とは?

業務の性格と質に応じたグループ(職群)を全職種共通で設定したG病院独自の人事制度。職員の希望に応じたキャリアコースや働き方の選択が可能で、要求レベルは職能要件書で規定。

看護職の主な職群

部門や組織の管理・運営業務を担当。師長クラスは6〜7等級。

一定分野での熟練度が極めて高く、同分野の業務推進を担当。専門看護師・認定看護師など。

所属長の指示援助を受けながら職種内の業務を担当。
専能職:自己都合により限定的な業務範囲を担当。日勤専従者など。
基礎修得職:入職後、職群を定めずに訓練・経験を重ねながら、今後の進路を決定する過程にある人材。

専能職
自己都合により限定的な業務範囲を担当。日勤専従者など。
基礎修得職
入職後、職群を定めずに訓練・経験を重ねながら、今後の進路を決定する過程にある人材。
処遇

職群ごとの給与表(職能給表)を使用。看護師の場合、総合職・専門職>一般職・基礎習得職>専能職の順で給与額および号俸間の上げ幅(ピッチ)が大きい。

職群転換方法

自己申告制。転換回数の制限なし。

職群制度のさらに詳細はこちら

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人材育成制度

1.概要

院内独自の職群のなかから、自らの希望するキャリアの方向性によって一つを選択し、その群集ごとに規定された課題の達成を基盤とした目標管理制度が構築されている。個人の能力開発と組織の人材育成とを連動させたこのシステムにより、より個人の希望に即した人材開発が支援されている。また、目標評価は公正、透明に行われることが重要視されており、評価指標や方法はイントラネットでいつでも全職員が閲覧できるようになっている。院内研修は病院全体で行われるもののほか、看護部独自でも開催され、独自に開発されたプログラムにより、院内の状態に適した実践的な教育支援が行われている。

2.体制

概要

目標管理および職群ごとの課題を軸とした人材育成・評価制度で、職能要件書による達成目標の提示や、職群・等級・職種別の教育訓練の提供により、個々の能力開発を組織的に支援。 職群制度により、職員の希望に応じたキャリアコース選択が可能。

2)人材育成と評価および給与の関係
評価対象 評価ツール 評価結果の活用
(1)年間目標(目標管理)
(2)職群ごとの課題
(3)看護の質評価(病棟単位)
これらの目標達成度を評価
・職能要件書
※職群・等級別職能定義・指標
・目標設定シート
・概要計画書
・考課基準表
※設定目標とその達成度を評価
給与に反映
基本給(職能給)
賞与
評価制度の運用方法
客観的な評価指標
評価方法・指標の公開 イントラネットにて評価指標、給与規則等を全職員が常時閲覧可能。
評価時期 年2回
評価結果の公開 職員へのフィードバックあり
定期的な評価者訓練 半期ごとの人事考課の前に、人事部主催の評価者研修を実施。
複数名による評価 自己・師長・看護部長による評価。※一次・二次評価に大差がある場合、人事部で調整。
研修について
院内研修体制
看護部16種、人事関連5種の研修プログラムを独自開発・実施。専門看護師コースに沿ったプログラムも作成中。研修はほぼ勤務時間内に実施。
研修費用の支援
研修訓練体系を整備。研修費用は病院負担。(要確認)

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組織体制

1.経営方針・ビジョンについて

経営方針・ビジョンの明確化

毎年の年度経営方針および3年ごとの長期経営方針を、全職員へ発表およびイントラネット等で周知徹底。求められる人材像に向けた能力開発支援、組織全体の目指す方向性(ベクトル)の統一による組織力強化を目指している。

2.職員との関係性について

階層の少ないフラットな組織体制
院長と師長が直結
部長を置かずに師長を院長直下に並列配置。院長からのメッセージが下に正確に伝わり、組織としてのベクトル合わせが容易になった。11名の院長補佐(うち看護職3名)は、各部門の取りまとめ・パイプ役として院長への進言や部門全体の目標設定を行う。
部署・職種横断的なヨコの連携重視
部署横断的な研修を多数実施し、同期同士のつながりや職種・部署横断的な連携を強化。離職防止にも効果あり。
経営陣・職員間の双方向コミュニケーション
院長-師長の面接の実施(月1回)
院長が、毎月120人超の全師長との個別面接を実施しており、病院目標と部署目標のすり合わせおよび職員からの意見の吸い上げが確実にできるようになった。
職員満足度調査の実施(年1回)
 
定期的な制度の見直し・改善

「制度に固定的なものはなく、さらに良いもの、つねに現状にフィットし皆が納得するものに変えていく必要がある」との認識のもと、院長考案の評価・改善のサイクルにのっとり、常に制度の評価・見直しと改善策の検討を行っている。

地域医療連携を重視

紹介率84%、逆紹介率80〜90%、自宅退院75%。転院時は救急車で看護師が随行、在宅療養の場合はMSWが同行・申し送りを実施。転院・退院後の容体変化には24時間救急受入れ体制で対応し、地域医療における救急病院としての役割を推進している。患者満足度は80〜100%近くで推移している。

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労働条件等

1.労働時間(残業・夜勤)について

夜勤専従制の導入
平成11年より看護の質を上げるための方策として夜勤専従制を導入。休みが取りやすいため中堅クラスに人気。夜勤者を固定することで日勤者の固定が可能になった。
短時間正職員制度の導入
平成11年度より短時間勤務者の希望に応じて正職員の処遇を確保。どの職群でも短時間勤務可能なため、労働時間の長短を気にせずにキャリア形成が継続できる。

2.業務量について

ゆとりの人員配置
看護師を他院より1〜2割多めに雇用。稼働率や看護必要度にもとづく各病棟の必要看護師数を日々更新しイントラネットへ掲載しており、急な欠勤のある病棟へのリリーフ配置など、業務量に応じた組織全体での人数調整が可能。

3.福利厚生について

子育て支援の充実
夜勤のできる看護師確保のため、H21年度から既設の院内保育園で24時間保育・病児保育を開始した。現在人手が足りず週2回のみだが、徐々に日数を増やす方向で検討している。

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病院概要

【G病院概要 ※2008年度データ】
設置主体 医療法人 病院機能 一般急性期病院
地域情報 地区名 甲信越地区
対人口比(1万人あたり) 看護師数130人(06年)、医師数47人(06年)
病床数164床(07年)
病床数 500床台 入院基本料 7:1
平均病床利用率 93.6% 平均外来患者数 852人/日
平均在院日数 12.6日/年
人事管理部門 あり 労働組合 なし
【看護職員データ】※看護職員…保健師、助産師、看護師、准看護師
平均在職年数 6.2年 平均年齢 30.9歳
離職率 2006年度 15.3%、2007年度 14.3%、2008年度 13.0%
既婚率 22.2% 有子率 17.2%
【労働時間、休暇等情報】
所定労働時間 38.3時間/週
平均超過勤務時間 スタッフナース 6.8時間/月(主任などを含む)
師長以上 1.0時間/月(看護部長などを含む)
夜勤体制 2交代(8:30-17:15、17:00-8:45)
平均夜勤回数 スタッフナース 4.7回/月(※夜勤専従者は除く)
年間休日(2007年度) 121日 ※有給休暇、夏季休暇、特別休暇は除く
有給休暇付与日数 初年度 10日/年 、最高 20日/年
※未使用分は翌年まで使用可能。20日間を翌年に繰り越した場合は、最大40日/年取得可。
有給休暇の平均取得日数・率 スタッフナース 6.0日/年(30%)
師長以上 3.8日/年(19%)
※平均取得率は年間有休付与日数20日として算出
【経営関連情報】
医業収支率 99.8%
給与費率 55.6%
給与費配分比率 看護職32%、医師35%、その他33%
職員数比率 看護職40.2%、医師15.8%、その他44%
全体予算の決定体制 決定者:法人理事会
看護部長権限:なし
給与費配分の決定体制 同上

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現給与制度の導入のプロセス

1.きっかけ

G病院では、平成8年より給与・人事制度の抜本的改革に取組み始めた。その背景として、国家経済の低迷による診療報酬引き下げに伴う厳しい経営環境と、年功序列給与制度による労働実態と給与の不均衡に対する院長の強い問題意識があった。地域医療に貢献し、組織としての発展を続けるためには、第一に優秀な人材確保が必要であり、そのためには、職員の能力開発を支援し、かつ一生懸命働き能力を伸ばそうと努力する職員に対する適正な評価・処遇が必要であった。
そこで、院長の強いリーダーシップのもと、給与、教育、評価を含む人事制度改革に着手し、PDCAサイクルで制度見直し・評価を繰り返しながら定期的な改善を重ねている。

2.導入プロセス

院長の指示で院内に新人事制度検討プロジェクトを設置し、人事コンサルタントによる人事制度改定レクチャーをプロジェクトメンバーで1年間受講した後、院長とプロジェクトメンバーで経営理念・ビジョンおよび新人事制度を策定した。改定のポイントは、①職員が働きがいを感じ将来に希望が持てる処遇・評価・期待される人材像の明示、②さまざまな働き方の選択肢を可能にした人事制度の整備。

H8 新人事制度検討プロジェクト立ち上げ
経営理念・ビジョンの策定、評価者説明会の開催
H9 職員への周知・説明、新制度の試行
H10 新人事制度の本格稼働(納得の得られた部門から段階的に導入)
評価者研修の毎年実施
H13 目標管理制度の導入
H16 医療の質評価、看護の質評価の導入