労働環境の改善の推進

夜勤・交代制勤務に関する原則・提言等

夜勤・交代制勤務は、不規則な勤務で深夜労働を伴うため、勤務者の心身および社会生活への負担が大きく、医療安全の観点からもそのリスクが指摘されています。

看護職の夜勤・交代制勤務は、製造業等における交代制勤務のような作業内容が規則的で、通常時間外労働の生じない勤務形態とは異なり、患者の緊急入院や急変時対応等のさまざまな要因によって、日常的に時間外労働が生じます。また、勤務中は、患者の生命にかかわる継続的な緊張感を伴うといった特徴があり、交代制勤務の中でもとりわけ労働負荷が高いといえます。

わが国の労働に関する法令には、労働基準法がありますが、これはさまざまな職種に共通した最低基準が定められているものであり、看護職の夜勤・交代制勤務を想定した適切な規制がありません。

日本看護協会では、看護職の健康および生活のリスクを軽減させることならびに医療安全の観点から、看護職の夜勤・交代制勤務について一定の規制を設けることが必要だと考えています。

ここでは、諸外国やわが国の夜勤・交代制勤務に関する既存の原則・基準等について以下の内容をご紹介します。

EU(欧州連合)の労働時間指令

EUが労働者の健康と安全を保護するため、労働時間、休憩時間、休暇、夜間勤務に関する最低要件を設定したものです(加盟国がより好ましい基準を設定することを妨げない)。
以下は、その主な内容の解説です。

労働時間指令

労働時間の編成の一定の側面に関する欧州会議および閣僚理事会の指令(2003/88/EC)

主な内容
項目 内容
1日の休息期間 ※1 24時間につき最低連続11時間の休息をとる(1日の労働時間の上限は原則として13時間)
休憩 ※2 労働時間が6時間を超える場合には休憩を取得する
週休 ※3 上記の11時間の休息期間に加え、7日ごとに最低連続24時間の休息期間をとる(連続35時間の休息期間)
労働時間 時間外労働を含め48時間/週を超えない(4カ月単位の変形労働時間制は認められている)
年次休暇 最低4週間の有給の休暇を付与する
夜間の労働時間 ※4 24時間につき平均8時間を超えない
夜間労働者の保護 就業前および定期的な無料の健康診断、健康問題を抱える労働者の昼間労働への転換
注1)
※1〜※4は、規則(又は行政規定)、労働協約(又は労使協定)によって、病院等に従事する医療従事者等への適用除外が認められる。また、※1、※3は、交代制労働の場合に適用除外が認められる。ただし、いずれも、当該労働者に同等の代償休息期間が与えられるか、合理的な理由によりそれが不可能で例外的な場合において、適当な保護が与えられることを条件として認められる。
注2)
なお、上記の適用除外の対象者となる労働者に関しても、「労働時間」の上限(時間外労働を含め48時間/週を超えない)は絶対原則とされている。

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ILO(国際労働機関)の条約・勧告等

ILOは、国際基準を設定する条約及び勧告を三者構成(使用者・労働者・政府)の国際労働総会で採択する機能をもっています。この条約は、国の批准によって、その規定の実施を義務づける拘束力を生じます。勧告は、政策、立法、慣行の指針となるものです。看護職の夜勤・交代制勤務に関連する条約・勧告には以下があります。※日本はこれらを批准していません。

ILO(International Labour Organization)条約・勧告(ILO駐日事務所ホームページより)

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国際的な原則・基準等

諸外国においては、『健康』、『安全』、『生活』の3つの側面から、夜勤・交代制勤務に関するさまざまな基準があります。

ルーテンフランツ9原則(1981、1982)およびポワソネのヘルスワーカー6原則(2000)

労働科学の分野において、夜勤・交代制勤務の適切な管理を考える上での基本的な原則として位置付けられているもので、今日に至る多くの夜勤・交代制勤務の研究により裏付けがされています。

ルーテンフランツ9原則(1981、1982)原文PDFリンク
  • 夜勤の継続は最小限にとどめるべきである
  • 朝の始業開始時間は早くすべきではない
  • 勤務の交代時刻は、個人レベルで融通性を認めるべきである
  • 勤務の長さは、仕事の身体的・精神的負担の度合いによって決めるべきで、夜勤は日勤より短時間が望ましい
  • 短い勤務間隔時間は避けるべきである
  • 少なくとも終日オフの2連休の週末連休をいくつか配置すべきである
  • 交代時間の方向は正循環がよい
  • 交代周期(シフトの一巡)の期間は長すぎてはいけない
  • 交代の順序は規則的にするべきである

ポワソネのヘルスワーカー6原則(2000)

ポワソネのヘルスワーカー6原則(2000)原文PDFリンク
  • 夜勤はできるだけ少ないほうがよい。できない場合は、交代周期(シフトの一巡)は長期より短期のほうがよい
  • 長時間に渡る勤務(9〜12時間)は、業務負担(仕事の性質や量)が適切である場合のみ検討が可能であり、かつ、その際は疲労の蓄積や有害物質への暴露は最小にすべきである
  • 朝の始業開始は、早い時間(例:6時)を避ける
  • 十分な勤務間隔時間のない勤務帯での勤務(例:同日の深夜勤⇒準夜勤)は避ける
  • 連続勤務日数は5日〜7日までとする。少なくとも終日オフの2連休の週末連休をいくつか配置すべきである
  • 交代時間の方向は正循環がよい(位相後退、時計周り:日勤→準夜勤→深夜勤)

日本看護協会仮訳(2011年11月30日)

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わが国における原則・基準等

わが国においても歴史的に、夜勤・交代制勤務をめぐるさまざまな検討、研究が行われ、それに基づく提言等がなされています。

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日本看護協会の関連する取組み

日本看護協会では、看護職の労働時間の設定および夜勤・交代制勤務の負担軽減に向け、国に対する要望を行っています。

参考
日本看護協会が厚生労働省労働基準局宛に提出した要望書

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