国際情報

ICNの動き

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2013年

12月号

日本看護協会  国際部

2011年〜2014年の「ICN戦略計画」

この時期、読者の皆さまの施設や組織でも、次年度の事業計画の策定に取り組んでおいでと思います。その際には“事業の目標”を定めることでしょう。今回は、ICN事業の目標である「ICN戦略計画」注)についてご紹介いたします。

  • 看護・保健政策と社会政策に影響を及ぼす

    ICNは、人々のニーズに対応する看護師が優秀であり、自律的に活動し、社会の尊敬を集めるよう、看護師の貢献や価値、看護の効率を強化することに注力する。そこでICNは、世界的な保健の状況を把握し、所信声明や各種会議での発言等を通じて“看護の視点”をアピールし、政策的寄与を果たしている。

  • 看護の水準と看護師のコンピテンシーを向上させる

    看護の水準と看護師のコンピテンシーを高めるためには、知識とエビデンスに基づく実践が不可欠である。看護師の能力や意欲、看護の効率性・職務満足度・社会的認知を高めることが、看護サービスへのアクセス向上と患者安全のカギである。そこでICN は、倫理綱領や業務基準を作成・普及し、e - ヘルスなどの事業を推進している。

  • 各国看護師協会の組織開発強化を促進する

    ICNは世界の看護師協会が、影響力を持ち、会員数を伸ばし、ビジョンを持ち、革新的で、真に看護師を代表するものとなることをめざしている。そこでICN は、各国看護師協会向けの組織開発プログラムを提供し、その組織強化を支援し、テーマ別のフォーラム等を通じてガバナンスを高め、政策形成力の向上をはかっている。

  • 世界において看護師と看護を代表する

    ICNは世界の看護師が、多様な方法や活動・連携を通じて、アサーティブで、協働する力を持ち、パートナーとして尊敬されることをめざしている。そこでICNは、ハイレベルの各種国際会議に看護師の代表を送り、主要な政府・非政府団体との連携を強化し、専門誌の出版を通じて保健・社会政策に貢献している。

  • 看護とICN の発展に寄与する基金を設立し、信託財産を受け取り、管理する

    ICN はスイス所在の非政府組織として、スイス法および国際会計基準に基づき、自組織を運営する。そして、ICN 組織の強化のために会員増の努力をはかり、多様な財源を開発し、健全な運営を行う。


ICNでは、このような目標がどの程度、達成されているかについて、BSCの手法を用いて「会員および重要関係者の視点」「財務の視点」「組織プロセスの視点」「学習と革新の視点」から業績評価を行い、2年ごとの会員協会代表者会議(ICNの最高議決機関)において報告しています。

※注)http://www.icn.ch/images/stories/documents/about/ICN_Strategic_Plan.pdf外部リンク

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11月号

日本看護協会  国際部

ミャンマーの看護事情

日本看護協会は、2013年国際看護師協会(ICN)会員協会代表者会議(CNR)・第25回4年毎大会の際に、他国看護師協会の代表者参加を支援しました。今月は、本会が支援したミャンマー看護師助産師協会のHtawn Hla 会長よりうかがった、同国の看護の状況について紹介します

―自国の看護で「誇れること」と「課題」をご紹介ください。
ミャンマーでは適切な看護教育が提供されており、これは大変誇れることです。1991年にカリキュラムを改訂し、多様な役割や状況に応じて効果的に機能する看護師を育成する教育となりました。
課題には、「給与の低さ」「業務量の多さ」「長時間労働」が挙げられます。高い給与を求めて看護師がシンガポールやタイなどに移動し、わが国は看護師不足となっています。このことにより、提供するケアへの不満足感が生じ、悪循環となっています。
課題に立ち向かう上で、患者のケアへの不満足感を解消し、看護ケアの改善をはかる必要があります。そのためには、看護部長の管理能力の向上が必要と考えています。
―CNR・ICN大会での学びをどのように自国の看護に反映させていく予定ですか?
今回、当協会は初めてCNRに参加しました。他国協会の代表者と意見交換をする機会は、自国の看護の発展に大変有意義なことです。CNRでの決定内容について、国に戻って早急に対応を検討していきます。
【ミャンマーの背景情報について】

ミャンマーは東南アジアの最も西に位置する国です。人口は推計6038万人(2011〜2012年)で、約70%が地方に住んでいます。ミャンマーには135の民族がおり、100以上の言語・方言が話されています。手つかずの天然資源の存在や人口構成が若いことから、より豊かな将来に向け、現在、貿易の開放を進めています。経済発展に伴い、教育・医療などの福祉セクターの発展も進んでいます。
人々の健康状況を向上させるため、保健省は、ヘルスプロモーション・予防・治療・リハビリテーションといった包括的なサービスに責任を持っています。ミャンマーの保健・医療ケアは、官民両セクターによって提供されており、伝統医療も国営の14の伝統病院で提供されています。
ミャンマーの看護基礎教育は、大学(4年間)と看護学校(3年間)で提供されています。看護師資格は卒業試験に合格することで取得でき、免許は2年ごとの更新が必要です。
看護師の職位には4種類あります。「Trained Nurse(登録看護師)」と、Trained Nurseとして最低3年以上勤めた看護師が昇進して得る職位の「Staff Nurse(スタッフナース)」、そして「Sister(病棟管理者)」「Matron(看護部長)」です。Staff Nurseは、Trained Nurseより責任は重いのですが、同じ給与です。また、Sisterは、Trained Nurse として5年以上の経験のもとに就ける職位ですが、職位の数が限られているため、実際には20年以上の経験ある看護師がこの職位に就いています。

●参考資料

  • 本誌10月号ではネパールについて紹介しています。併せてご覧ください。

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10月号

日本看護協会  国際部

ネパールの看護事情

日本看護協会は、2013年国際看護師協会(ICN) 会員協会代表者会議(CNR)・第25回4 年毎大会 の際に、他国看護師協会の参加を支援しました。
 今月は、本会が支援したネパール看護協会の Pramila Dewan 会長よりうかがった、同国の看 護の状況について紹介します。

―自国の看護で「誇れること」と「課題」をご紹介ください。
ネパールでは、50〜60年前までは看護職は尊 敬される専門職ではなかったのですが、現在は一 流の仕事であり、学生の最良の選択肢の1 つ。と ても誇れることです。1972年に大学での看護教 育が開始され、1990年の民主主義回復以降、飛 躍的に発展しました。ネパールの看護教育は南ア ジア地域協力連合*1で、最も素晴らしい教育の1つとされています。
一方、課題をいくつか挙げますと、
  • 看護師の偏在:遠隔地では1 人で職務を担う一方で、都市部の求人競争率は高い
  • 看護師の育成数に比べ、雇用創出数が少ない
  • インフラ不足により労働環境がよくない
  • 政府の不適切なインセンティブにより、看護師のモチベーションが低い
  • 経験を積んだ看護師の離職率が高い
  • 良好な収入と労働環境を求めて、国際移動する看護師の割合が高い
  • 看護教育が利益を得るビジネスとなり、病院を持たない民間団体が看護教育に参入することで看護教育の質が低下
などです。
課題に立ち向かう上での困難な点は、「政府に独立した看護課・本格的な看護人材の育成計画がないこと」「看護師の採用過程が長期にわたり、若い看護師にとって好ましくないこと」です。
―CNR・ICN 大会での学びをどのように自国の看護に反映させていく予定ですか?
CNR・ICN 大会で得た情報や学びを普及するセミナーを開催予定です。効果的な普及に向け、地域や郡のレベルでシンポジウムを開催します。
【ネパールの背景情報について】

ネパールはエベレストに代表される急峻な山脈を有する中国とインドに挟まれた内陸国です。急峻な山岳地帯は車両などによる移動が難しく、必要な物資や情報を適時に届けることが困難です。
人口は約2649万人(2011年)で、約50%の人々が南部の平野部に住んでいます。20年ほど前から都市化が急速に進み、インフラやサービスの不足、スラムの増加などが課題となっています。
保健人口省の管轄にある医療施設は病院86、プライマリー・ヘルスセンター205、ヘルスポスト822、サブ・ヘルスポスト*2 2987カ所です1)。ネパールで看護師となるに)は、看護大学または看護学校での看護基礎教育修了後に国家試験を受け、免許を取得します。看護師登録者数は2万3022人、外国人看護師が754人(2013年6月24日現在)です2)

●参考資料

  • 1 南アジアにおける地域協力の枠組み
  • 2 サブ・ヘルスポスト:同国の保健医療サービス提供体制で、市民が最初に訪れる保健医療施設。基本医療サービスの提供と、地域基盤の保健医療活動のモニタリングを行う。サブ・ヘルスポストの照合先となる施設がヘルスポストで、サブ・ヘルスポストと同様の必須医療サービス提供と共に、分娩施設を併設する

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9月号

日本看護協会  国際部

ICN から日本のナースへ

5月に開催された第25回ICN4年毎大会(豪州・メルボルン)にて、ローズマリー・ブライアントICN会長(当時。以下:会長)とデビッド・ベントン事務局長(以下:CEO)より、日本の看護師へのメッセージをいただきました。

【ICN 大会/ 学術集会への参加のお誘い】※

会長:日本の皆さんは他国の看護師と同様、日常業務が忙しく、学会参加や自身の専門職としての能力開発について考える時間を十分にとれないのではないかと思います。今大会の参加者やオーストラリアの看護師にも「これまでICN 大会/ 学術集会(以下:大会)に参加したことがない」と言う方が多数いました。しかし、ICN 大会は、参加者が世界各国の看護師から学ぶ大変豊かな場です。発表を聴くだけでなく、世界各国の参加者と話をする機会でもあります。他国も同様の問題を抱えていることを理解し、解決策を話し合うこともできます。言語面の課題もあるかと思いますが、ICN 大会への参加は大変豊かな経験となり、多様性に触れられるでしょう。


ベントンCEO(左)とブライアント会長 (右:当時)

CEO:日本の看護師は大変熱心に仕事をされています。JNA(日本看護協会)が労働条件や労働環境の改善に取り組んでいるように、ICNもこれらの重要な問題に関与してきました。ICN大会は、世界各国の看護師とさまざまな話をする機会となります。日本が取り組む「多様な勤務形態」や「長時間労働の改善」について、参加者間で相互に学ぶこともできます。ICNは開発途上国の看護師のためだけでなく、先進国の看護師が考えや解決策を共有する組織でもあるのです。
また、日本は「看護師の役割拡大」を検討していると聞いています。ICN大会にはアドバンスト・プラクティスを担う看護師が多数参加しており、世界的な意見交換が可能です。日本が直面している法的枠組みや他職種との関係等の問題には他国も直面してきたため、互いに学ぶ大変重要な機会となります。

【日本の看護師へのメッセージ】

CEO:日本独自の文化を世界と共有することにより、ケアを高めることができるのではないでしょうか。保健医療が直面する課題の検討に日本の看護師が関与することで、市民に提供するケアがさらに向上すると考えます。特に、日本は高齢化が進んでいるので、日本の看護師の高齢化への対応に関する経験を共有することで、世界各国の看護師が学ぶことができるでしょう。

会長:私も、日本の高齢化や在宅への対応は各国が学ぶ点だと考えています。また、東日本大震災の際に看護師が一丸となってケアを提供し、現在も継続して対応していることは大変素晴らしい。災害は突然の出来事ですが、長期的なケアが必要です。発災当初は身体的なケアを行い、その後、社会的・精神的ケアを継続している日本の看護師は目覚ましい活躍をしていると思います。

  • 次回ICN学術集会は、2015年に韓国・ソウルで開催されます。

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8月号

ICN第一副会長/東京有明医療大学看護学部看護学科学科長・教授  金井 Pak 雅子

ICN 選挙当選の報告と副会長としての課題

第25回ICN4年毎大会が、5月18日から23日までメルボルンで開催された。大会の前には理事会と各国看護師協会長たちとの会議(CNR)が例年どおり開かれ、今年は4年に1度の会長選挙および理事選挙が行われた

ICNの選挙に関しては、2009年からかなり厳しい規制がしかれており、配布可能な物はリーフレットのみである。選挙では各国の看護師協会長が投票権を持つ。投票前日には1日“ブース”が設けられ、立候補者はそこに待機して、投票権を持つ方々との交流の機会が与えられた。

ICN会長の立候補者は3人(カナダ・台湾・コロンビア代表)であった。そのうち台湾とコロンビアの候補者は、ICN理事として2期務めている方々である。会長選挙に関しては、今回から候補者の演説が行われることになった。各国看護師協会長たちの前で候補者が10分ずつ演説した後、あらかじめ提出されていた質問を現会長が読み上げ、1人2分間で答えるという方式であった。選挙の結果、カナダのJudith Shamian氏が新会長に選ばれた。

理事選挙に関しても、今回から新しい選挙活動が取り入れられた。各候補者がICNのホームページに2分間のビデオメッセージを掲載する方法である。私も日本看護協会の協力を得て、昨年夏に撮影・掲載していただいた。

理事の任期は2期(1期4年)まで可能で、今回は再選がかかる選挙であった。ICN理事は、世界を7地区に分けて地区ごとに議席数が決められており、日本は「第7地区(アジア・オセアニア)」で3議席となる。今回、第7地区からは4人が出馬した。第7 地区は初日の選挙で2人が同票だったため、翌日に決戦投票が行われた。私はおかげさまでトップ当選を果たすことができた。あと2人の理事には台湾とタイの候補者が当選した。

閉会式前日には、副会長選挙が新理事会メンバーにより開催された。副会長選挙は理事の中から自薦・他薦で候補者を選び、理事は無記名投票で、候補者の中から3人を選ぶ。そして得票数が多い順に、第一・第二・第三副会長となる。この選挙においても私はトップの票数を得ることができ、第一副会長に選ばれたのである。

第一副会長は会長の補佐役のほか、Planning and Finance 委員会とICN基金の委員長を務める。世界経済の影響を受け、ICN自体も厳しい経済状況にある。ICNの運営は会費で賄っているため、会員数が多いほど活動の原動力が得られる。1人当たりの会費の額は決められているが、個人で会員登録をするわけではなく、各国の看護師協会に所属していると自動的にICNの会員となり、各国看護師協会が会員数に応じて年会費を納める。日本の会員数は約60万人とダントツである。

ICNが直面している課題は「経済苦境においていかに組織運営をしていくか」であり、まさに第一副会長としての私の手腕が問われている。

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7月号

日本看護協会国際部

2013年第25回ICN4年毎大会(5月18日〜23日、豪州メルボルン)より一足早く、ICNの最高意思決定機関である会員協会代表者会議(CNR)が5月16日〜19日の4日間、同地で開催されました。

今回のCNRでは、ICN組織の抜本的な変革への着手が承認されました。この変革は、世界的な経済危機や人口高齢化・疾病構造の変化・政情不安定等に直面して、人々の健康を守る看護師を代表するICN が、その組織力をいっそう高めることを目的としたものです。

組織力をさらに高めるためには、より多くの看護師がICNに参画することが必須です。現在、世界の看護師数2000万人1)のうち、ICN会員である各国看護師協会に所属する看護師数の総計は、約268万人2) (13.4%)です。この数を増やすことが最重要課題の1つです。
“変革”をめざして、今回、次のような提案が採択されました。

  • 1カ国複数協会の加入について:“1カ国1協会が正会員として加入”という従来モデルを修正して、一定条件下では1カ国複数協会が正会員として加入できるようにする
  • 高所得国協会の新規加入時会費割引:従来、低所得国協会に適用されていた新規加入時の会費割引制度を高所得国協会にも拡大する
  • 高組織率または大規模協会の会費減額:協会の成長に対するインセンティブを提供する
  • 協会規模を勘案した投票数へ:従来は協会規模にかかわらず“1協会1票”だった投票権を見直す
  • ガバナンス・コストの適正化:効果的・効率的な財政管理をはかる

こうした変革の必要性は2012年5月のICN各国看護師協会会長会議(CNR の非開催年に開かれる、情報・意見交換を主体とした会議)の折に表明され、以来、1年をかけて、ICN理事会と同事務局は精力的に各国協会との意見交換をはかり、今回のCNR 提案を精錬してきました。

この提案の背後には、「これまでのやり方は、もう通用しない」(ベントンICN事務局長)や「現状維持は、私たちの選択肢ではない」「私たちは困難な決断を下した」(ブライアントICN会長:CNR時点)等の言明に表れる、強い危機意識と決意がありました。そして、CNR全体がそうした意識を共有した上での決議でした。

今回の決議を受けて、ICN新理事会と事務局は早速、具体的実施案の開発に着手することになります。ICNが世界の看護師を代表する組織として、いっそう躍進することが願われます。

●参考文献

  • 1) 世界保健機関ホームページ:世界保健統計 World Health Statistics2013より推算(http://www.who.int/gho/publications/world_health_statistics/2013/en/index.html)[2013.5.27確認]
  • 2) ICN:2013年CNR 資料(一般非公開)
ICN 新理事会メンバー、決定

 CNRで行われた選挙により、ICN新会長にジュディス・シャミアン氏(カナダ看護師協会推薦)、理事に金井 Pak 雅子氏(本会推薦)が再選、ほか14人が選出された。また金井氏は、理事互選により第一副会長に就任。

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6月号

日本看護協会国際部

非感染性疾患とICN「Grow Your Wellness」について

非感染性疾患(NCDs)は、世界的な保健課題として注目を集めています。世界保健機関(WHO)の推計では、2008年の全世界の死亡者数5700万人のうち3600万人の死因がNCDs、すなわち心血管疾患・がん・慢性呼吸器疾患・糖尿病などによるものとされています1 )

WHOは2013年2月に発行した看護師・助産師とNCDs に関する文書で、世界に1900万人以上いる看護職が、NCDsの予防と管理で活躍することへの期待を表明しています。また、NCDsへの対応の強化にかかる費用は、低所得国では1人当たり1ドル未満、高所得国においても1人当たり3ドル以下であると概算しています2)

 ICN はNCDsへの看護職の関与の重要性について注目しており、ICN・各国看護師協会・ファイザー社の連携による取り組みの第2段階として、NCDs に特化したウェブサイト「健康を育てよう(Grow Your Wellness)」を開設しています。

このサイトでは、看護師や他の医療専門職を対象としたNCDs の教育・評価・介入・政策提言に関する資料を提供します。掲載資料は、人々の行動変容に必要な知識や支援に関する効果的な介入に焦点を当てています。

さらに、サイトでは“ 健康の木(Wellness Tree)”が象徴として描かれ、健康の木の「枝」「環境」「根」が、健康やウェル・ビーイングに影響を与える要素として説明されています。
以下に概要を示します。

  • <枝:Branches>
  • 私たちの健康にはたくさんの“枝”があり、それらの枝は生活習慣に関する日々の選択を象徴する。選択の実現方法は個々の要因により異なるが、基本的な考え方は共有のものである。
    本ウェブサイトでは、生活習慣の選択肢としては、身体活動・バランスのとれた栄養・喫煙・アルコール摂取について取り上げられている。
  • <環境:Environment>
  • 私たち個人の健康は、周囲の環境に影響される。個人としては、健康とウェル・ビーイングに関する個人の長期的なビジョンが健康を維持する上で重要となる。さらに、看護師による健康教育、ヘルス・アセスメント、プライマリ・ヘルスケアなどの介入は、個々の健康な生活習慣に重要な役割を果たす。
  • <根:Roots>
  • 健康は、私たちが直接コントロールできない要因に深く根付いていることがある。健康の社会的決定要因・家族歴・性差は、有病率・治療戦略・健康アウトカムに影響するため、NCDs に対処する際に検討する必要がある。

●参考文献

  • 1) WHO:Noncommunicable diseases(NCDs)
    (http://www.who.int/gho/ncd/en/index.html)[2013.4.9確認]
  • 2) WHO:Enhancing nursing and midwifery capacity to contribute to the prevention, treatment and management of noncommunicable diseases,Human Resources for Health Observer,No.12, 2013(http://www.who.int/hrh/resources/observer12/en/index.html)[2013.4.9確認]

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5月号

日本看護協会国際部

2013年ICN会員協会代表者会議(CNR)・第25回ICN4年毎大会、迫る!

標記会議・大会の開催期日が5月に迫っており、大会ホームページにプログラムの大枠が掲載されました。大会テーマ「公平性とヘルスケアへのアクセス」のもと、「ジェンダーの公平性」をはじめ、「非感染性疾患の世界的広がり」「肥満における個人と社会の責任」などを主軸に、多彩なプログラムが設けられる予定です。また、「災害」に関するセッションにおいては、本会の真田弘美副会長が、東日本大震災における本会の活動について講演を行います。

さて、本誌でも既にご報告のように1), 2)、ICNは世界的な経済危機に直面する中で、「世界の看護を代表し、その専門性を発展させ、保健政策に影響をおよぼす」という自己の使命をいっそう追求するには、組織変革を通じて、その持続可能性を高めることが重要との認識を高めています。来る5月のCNR では、この点が議案として取り上げられる予定です。具体的には、ICN会員資格基準や会費算定方式等を変更して、ICNに加入する看護師協会(以下:協会)の数や看護師数を増やすことにより、ICNの組織的パワーを高めようというものです。

ICNは、この議論を進めることを、2012年5月の各国看護師協会会長会議で公表して議案を作成し、各国協会のコメントや意見を求めてきました。そして、ホームページへの関係文書掲載やメールでの連絡、各国協会の公式意見募集などを通じて、各国協会との意思疎通を密にはかり、より多くの協会が納得できる内容をまとめるよう努力してきました。この過程は“コンサルテーション”と呼ばれています。

ICNは通常、重要な課題や問題に関して、各国協会とのコンサルテーションを経て、最終決定に反映しています。ICN発表によると、今回のコンサルテーションでは各国協会からこれまでにないほど多くの回答が寄せられたということです。

しかし、常勤の役職員がいない協会やインターネット等のインフラが整備されていない協会は、こうした場への参加が容易ではありません。「機会の公平性の保証」という課題の重さを、あらためて感じます。

また今回は、文書やメールでの意見交換に加えて、電話会議や対面会議が行われたのも特徴です。この案件に特に関心を持ついくつかの協会が、隔月で非公式に意見交換をはかってきました。本会も毎回出席しましたが、使われる言葉を定義し、内容を確認し、誤解を修正し、価値観を擦り合わせる……という緻密な作業が続きました。3月をもって会議は終結しましたが、引き続き、ICNの内部委員会で議案のとりまとめが行われ、5月のCNRに諮られる予定です。

この長期にわたる複雑な意見交換の過程を運営してきたICN理事会およびベントン事務局長とスタッフに敬意を表するとともに、5月のCNRで活発な議論が行われ、望ましい成果が得られることを願っています。

●参考文献

  • 輪湖 史子:ICNの動き,看護, 64(15), p.90, 2012.
  • 金井 Pak 雅子:ICNの動き,看護, 65(3), p.82, 2013.

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4月号

日本看護協会国際部

ICN/世界各国の看護の動き

 今月は「ICNマンスリーメール」2012年11月号、12月号および2013年1月号より、ICNや世界各国の動きを紹介します。
「ICNマンスリーメール」では、ICNや世界の看護に関するさまざまな情報が届きます。これらの情報は、今回紹介する内容も含め、本サイトの「国際情報」に掲載されています。

【ICNファクトシート改訂】

ICNは、現在の健康と社会の問題に関する簡潔な参考情報と、看護職の視点から見た国際的な展望を提供する「看護事情(Nursing Matters)ファクトシート」を公表している。今回、「帯状疱疹」「インフルエンザ」「肺炎球菌性肺炎」「保健医療従事者の予防接種:インフルエンザとB 型肝炎」「ヒトパピローマウィルス」の5本を改訂した。
ICNファクトシートは、ICNウェブサイトに掲載されている。

【保健医療専門職の国際的な獲得競争は今後も継続】

 「保健医療専門職の移動(The Mobility of Health Professionals)プロジェクト」は、2012年3月に概略報告を発表した。この報告は、25カ国(アメリカ、イギリス、インド、オーストラリア、ガーナ、カナダ、フィリピン、フランス、南アフリカなど)の研究をもとにしたもので、保健医療専門職の獲得競争は継続し、今後10年を通じて激化する見通しを示した。
報告書では、「国内の保健医療専門職不足の解決を国際的な雇用に依存することの倫理的影響」「海外の資格等の評価・承認に関わることの困難性と遅帯」「教育水準の比較」「ケアの質と質保障」などに焦点が当てられた1)

【イギリスNHS(National Health Service)の看護職数減少】

NHSの看護職数は、2年前より4500人減少したことが、2012年7月発表のデータより明らかになった。一方、常勤職員不足を補う派遣職員が補充するシフト数は、年間で5割以上となっている。また、派遣職員を派遣している業者は、常勤職員に支払われる給与相場の7倍の金額を受領している2)

【韓国の看護師不足】

韓国保健社会機関は、「2025年までに3万人の護師不足に直面する」と推計した。研究者は、労働条件が改善しなければ、現在7万5000人の潜在看護師数が、2025年には14万人ほどに増えると見積もっている。大韓看護協会によると、潜在看護師の約4万5000人が20〜30歳代であり、保育所不足の問題も潜在看護師の要因となっている3)

●参考文献

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3月号

ICN理事/東京有明医療大学看護学部看護学科学科長・教授  金井 Pak 雅子

ICN選挙の争点―経済危機をどう乗り切るか

ICNは、今年のメルボルン大会にて会長および理事の選挙となる。今回、会長には3名が立候補している。そのうち2名が現在の理事で、所属国は台湾とコロンビアである。もう1名は、カナダである。理事も4年の任期が終了し、私も2期目の選挙に臨む。日本は「第7 地区」で、定員枠3名のところに、今回は4名(タイ、ニュージーランド、台湾、日本)が立候補している。

選挙に関しては、2009年からかなり厳しい規制がある。配布できるのはパンフレット類2 枚のみで、品物の配布は一切禁止されている。これは、富める国が有利になることを防ぐ目的である。この他に、今回から2分間のビデオ映像による選挙活動が導入された。私も、日本看護協会の多大な支援で制作し、ICNのホームページに掲載していただいた。選挙は、各国が1票の投票権を持つ。今回の選挙の争点は、「この経済危機をどう乗り切るか」、理事としても新たな発想が問われているのである。

ICN本部の人事に関しては、ナース・コンサルタントとして勤務していたエリザベス・アダムス氏の後任にカナダのレスリー・ベル氏が最近就任した。ベル氏の主な役割は、ICNの社会経済福祉分野のコンサルタントとしての活動である。今後はワークフォースフォーラムにおいて、各国と連携を取りながらの活躍が期待される。

ベル氏はオンタリオ州看護師協会会長等の要職を歴任し、1993年から同協会CEOとしてリーダーシップを発揮されていた。オタワ大学看護学部卒業後、ウエスタン・オンタリオ大学にてMBAを取得されている。政策関係にも豊富な経験を持ち、今後ICN の社会経済福祉分野において、それまでの実績を活かした活動が大いに期待できる。

ICNが現在直面している課題は、やはり“経済危機”である。ICNの財源は、各国のメンバーから支払われる会費で賄われている。つまり、その国の看護師協会の会員は、同時にICNの会員であり、各国看護師協会費の一部がICNに支払われているのである。ICNの会員登録をしている国であっても、昨今の政情不安から国民の生活そのものが脅かされている国もあり、そのような国からは会費の納入は滞ってしまう。会費を納入しなければ会員としての資格を喪失するわけだが、国の情勢を勘案すると、政情不安の理由のみで会員資格喪失というわけにはいかない。むしろ、政治により看護専門職が職業として脅かされている場合は、ICNとしては支援する。その例が、2年ほど前に起きたバーレーンでの、政府による看護師たちへの処分である。反政府運動による怪我人を治療したことで、医療従事者が政府により逮捕・投獄された。そして、今でも看護師たちが服役している状況である。

ICNとしては、この経済危機をいかに乗り切るか。会長始めとして副会長たちで構成するエグゼクティブたちの主導で、さまざまな討議を重ねている。5月に開催される会員協会代表者会議(CNR)でも、その点がいちばんホットなテーマとなるであろう。

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2月号

日本看護協会国際部

ベントンICN 事務局長からのメッセージ

ICN アジアワークフォースフォーラム(バンコク市、タイ)にご出席の、デビッド C. ベントンICN 事務局長(以下、CEO)から、日本の看護職に向けてメッセージをいただきました。

「お忙しい中、インタビューにお答えくださり、誠にありがとうございます。早速ですが、現在、ICN にとって最も大きな課題は何でしょう。」

CEO:現在、ICN が最重要視している課題は3点あります。「世界の経済状況」「疾病構造の変化」「人口構成の変化」です。この3 点を解説します。
1.世界の経済状況:経済危機の結果、各国政府は支出を見直し保健医療費を削減しています。そのため看護職の雇用条件が脅かされ、多くの各国看護師協会が大きな問題に直面しています。各協会は、現行の雇用条件を擁護し、減俸や増税から看護職を守ることに多大な時間を費やしています。また、看護の仕事は非常に苛酷であるため、多数の看護職が他の職業を求めて看護の仕事から去っています。これも非常に重大な課題です。
2.疾病構造の変化:長期的には、非感染性疾患(non-communicable diseases:NCDs)の急増が挙げられます。この点は看護職にとって大きな課題ですが、同時に好機でもあります。既に、「看護職は、プライマリーケアの場でも医療施設でも、NCDs を持つ患者に効果的なケアを提供できる」というエビデンスがあります。しかし、看護職がリーダーシップを発揮することに、他職種が抵抗を示す場合もあります。そこで看護職は、エビデンスを政府に提示し、人々の健康と福祉の改善という好機に自ら参画する必要があるのです。
3.人口構成の変化:NCDs の増加と並行して、多くの国で高齢化が急速に進展しています。日本はその先頭を走っています。また、社会構造の変化に伴い、子ども世代は都市へ向かい、高齢者は非都市部に残され、家族の支援を得られない状態になっています。こうした中で、認知症が進行した場合や身体が弱ってきた場合、高齢者は身近に支援者を必要とするようになります。「どのようにして高齢者の健康ニーズと社会的ニーズのバランスを保つか」という点が、看護職にとって大きな課題となっています。

「それらの課題に立ち向かう上で、最も困難な点は何でしょうか? また、「課題への対応」という点で、日本看護協会(以下、JNA)はどのような役割を果たせるとお考えですか。」

CEO:まず、JNAの役割ですが、日本は現在、人口構成に由来する多くの課題に直面しています。特に高齢化に関しては、世界各国に何年も先立って課題に取り組んでいます。「人口構成の変化への対応」という点で、JNA は他の国に多くを提供できると思います。他国の看護職は、JNA の経験や解決策を手本にできるでしょう。解決策は非常に複雑で、複数の策を実施する必要があるでしょう。JNAは、「高齢社会における看護のあり方」や「次世代の看護職が、多くの精神的・身体的問題を抱える高齢者のニーズに、よりよく対応できるようにするための教育」を検討する上で、指導的役割を果たすべきだと考えます。
もう一つの重要な点は、看護職として私たちは、保健省だけではなく、他の省庁にも働きかけて、人々が移動しやすい都市設計や高齢者に優しい住宅設計などを実現する必要があるということです。一例として、電気のコンセントが床面近くにあると、高齢者がプラグを差し込もうとして屈んだ時に転倒する危険があります。看護職である私たちは、コンセントの位置を高くするなど、とても簡単な提案で、人々が自立して暮らせる期間に大きな差が生まれることを知っています。

先頃、日本人看護職がICN コンサルタントに着任され1 )、私たちは大変嬉しく思っています。「海外で貢献したい」と考える日本の看護職も増えています。どのような点が日本人看護職の“強み”だとお考えでしょうか。また、国際舞台において日本人看護職に、どのような働きを期待されますか。

CEO:日本人看護職は、世界各地で大きく貢献していると思います。さまざまな国を訪ねると、日本人看護職がJICA 等の活動に加わり、他国の人々と協働している姿に多く出会います。彼女/彼らは、開発途上国に赴き、自らの経験や知識に立脚し、入念な分析と判断に基づき問題に対処する能力を発揮しています。ICN のチームに日本人看護職が加わったのは、とても嬉しいことです。採用面接の際、私は、彼女の分析力と解決志向で問題を捉える力に非常に感銘を受けました。彼女は、私たちのチームで大いに活躍してくれること でしょう。日本人看護職が海外で働くことにより注目を集めるだけではなく、実際に大きな成果を上げている好例ですね。
日本人看護職は、常にケアの技術的側面と人間的側面のバランスを上手に維持しています。その実践を見ると、相手を“全体”として捉え、疾病や手順・処置だけを見ているのではなく、相手やその家族の価値にも注意を払っていることがわかります。日本人看護職は、看護の「アート」と「サイエンス」の側面を両立させています。

ICN 事務局長は大変な激務かと思いますが、その中で、最も喜びを感じるのはどのような時ですか。

CEO:私が訪問する多くの国々には、非常に困難な状況にある国もあります。東日本大震災後に日本を訪れ、被災地の看護職にお会いしました。こうした時に非常に心強く思うのは、「どのような困難に直面していても、看護職は必ず“解決策”を見いだしている」ことです。看護職は必ず好機を捉えています。看護職がもたらす創造性や革新性、献身と情熱に驚嘆しています。私にとって、こうしたことは大きな“喜び”です。アフリカでもラテン・アメリカでも、日本でも、私は常に、看護職が並外れた働きをしているのを目にしてきました。

最後に、これからの活動に当たって“座右の銘”をお聞かせいただけますか。

CEO:アインシュタインの言葉の一つ、「今日、我々が直面する重要な問題は、その問題を引き起こした時と同一レベルの思考では解決できない」です。私たちは、問題を別の角度から検討し、解決策を求めて創造的に対応する必要があります。別の角度から検討することで、“前進”できるからです。

本日は、本当にありがとうございました

大会に先行し5月16日(木曜日)〜19(日曜日)に、ICNの最高意思決定機関であるCNRが開催されます。本会会員の方は、誰でも無料で傍聴することが可能です。

●参考文献

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1月号

日本看護協会国際部

第25回ICN4年毎大会のプログラムについて

今月は、2013年5月にオーストラリア・メルボルンで開催される国際看護師協会(ICN)4年毎大会について紹介します。

【大会の概要】

第25回ICN4年毎大会は、5月18日(土曜日)から 23日(木曜日)の6日間にわたり、開催されます。大会テーマは「公平性とヘルスケアへのアクセス」。
開会式は、大会初日の18日(土曜日)の夜に行われます。毎回恒例の、ICN会員協会の代表者が自国の民族衣装をまとっての華やかな入場に、参加者は大歓声を上げ、これから始まる大会への期待を高めるとともに、ICNが世界的規模の団体であり、看護職が世界的な職業であることを体感することでしょう。

【講演・メインセッション】

ヨルダンの王母ムナ殿下が大会テーマに基づき、基調講演を行うことが決定しました。ムナ殿下は、WHO 東地中海地域事務所の看護と助産部門の支援者であり、WHO看護コラボレーティングセンターの名誉アドバイザーを務められています。また、キングス・カレッジ・ロンドンのアン・マリー・ラファティ教授によるヴァージニア・ヘンダーソン講演も予定されています。
メインセッションでは、「高齢化」「業務範囲の変化」「災害」「人材」「看護倫理」「eヘルス」などのテーマに関する世界の最前線の発表が行われます。本会の坂本すが会長も、災害に関するメインセッションで発表する予定です。

【分科会・シンポジウム・ポスターセッション】

世界75カ国から、2,927題の抄録応募があり、査読が行われています。

【ICN ネットワーク会議】

「教育」「ナースプラクティショナー/上級看護実践」など特定の関心領域に焦点を当てた、ICNネットワーク会議が開催されます。ICN ネットワークは世界の看護職と最先端の情報交換をする場として、自発的に活動しており、個人で参加することができます。

参加登録は、ICN の大会専用ホームページにて受け付けています。日本語での参加登録代行も実施しております。なお、日本語での参加登録代行の詳細につきましては、本サイト「国際情報」をご参照ください。

【施設見学】

23日(木曜日)に行われる施設見学に、希望者は参加することもできます(先着順にて定員に達し次第、締め切り)。

【会員協会代表者会議(CNR)】

大会に先行し5月16日(木曜日)〜19(日曜日)に、ICNの最高意思決定機関であるCNRが開催されます。本会会員の方は、誰でも無料で傍聴することが可能です。

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