生涯学習支援

認知症看護学科

認知症看護学科
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認知症看護学科

認知症看護学科とは

戦後のベビーブーム世代が2015年に高齢期を迎え、2025年には高齢者人口がピークの3,500万人に達する日本において、認知症者のケアは深刻な問題となっています。認知症者はこの病の特性により、在宅や入所・入院を問わず療養期間と介護期間は長期化しています。合併症を含む病態・病状管理の頻度も高くなり、また、的確な終末期ケアに対する医学・医療との効果的な援助計画の立案と、それに対応できる臨床能力の高い看護人材が求められています。 そこで、社会の要望に応えるよう、質の高い認知症看護を実践する看護者の育成を行うため、日本老年看護学会が日本看護協会に認定看護師制度の認定看護分野として「認知症看護(2007年名称改正)」を申請しました。日本看護協会は2004年11月に認知症看護を特定分野として認定し、2005年4月より日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程に認知症看護学科を新設して教育を開始しました。
認知症看護は、認知症の経過と予後を理解した上で、生命・生活の質や自己実現に対するケアの質やその病態に与える影響の深刻さを洞察し、認知症の発症から終末期に至る長期間のさまざまな看護上の問題に対して、その家族を含めた統合的な援助を企画し、実践できることにあります。

学科の特徴

本学科では、高い専門性を身につけるために、実践に則した理論や方法を基盤にゼミナール形式の演習、事例分析、小グループによる学生主導・相互協力で進める学習形態を多く取り入れています。グループ学習は、看護で扱う複雑な現象を多角的に理解するだけでなく、問題解決能力や批判的思考力、リーダーシップ・メンバーシップなどの役割を遂行する能力などを養う上でも効果的な学習方法です。
教育目的は、1)認知症者とその家族の支援に関する最新の知識と技術を習得し、水準の高い看護実践ができる能力を育成する。2)培った認知症看護の専門的な知識と技術を生かし、看護職に対して指導・相談できる能力を育成する。3)あらゆる場において、認知症者の生命、生活の質、尊厳を尊重したケアを看護職や他職種と協働して提供できる能力を育成することにあります。
教育科目は共通科目(150時間)、専門基礎科目(90時間)、専門科目(150時間)、演習(195時間)、実習(225時間)から構成されています。

カリキュラム概要

共通科目150時間専門基礎科目90時間
看護管理 15 認知症看護原論 15
リーダーシップ 15 認知症基礎病態論

15

文献検索・文献講読 15 認知症病態論

45

情報管理 15 認知症に関わる保健・医療・福祉制度 

15

看護倫理 15    
指導 15    
相談 15    
対人関係 15    
臨床薬理学 15    
医療安全管理 15    
専門科目150時間演習195時間実習225時間
認知症看護倫理 15 演習 195 実習 225
認知症者とのコミュニケーション 15        
認知症看護援助方法論(Ⅰ) アセスメントとケア 45        
認知症看護援助方法論(Ⅱ) 生活・療養環境づくり 30        
認知症看護援助方法論(Ⅲ) ケアマネジメント 30        
認知症者の家族への支援、家族関係調整 15        

総時間数 810時間

■共通科目(150時間)
認定看護師という専門職業人としての看護職に必要な共通の能力を養うための科目で、「看護管理」「リーダーシップ」「文献検索・文献購読」「情報管理」「看護倫理」「指導」「相談」「対人関係」「臨床薬理学」「医療安全管理」の10科目を履修します。これらを学ぶことによって認定看護師の基盤となる専門的知識を学び、専門基礎科目・専門科目で得た知識を看護現場において具体化していくための能力を身に付けます。授業は講義形式のほか、学科を越えたグループワークやロールプレイを取り入れており、他分野との交流や多角的な視点で自らの看護実践を振り返る機会にもなります。

■専門基礎科目(90時間)
●認知症看護原論
認知症者を全人的に捉える視点を養うとともに、その人の健康と尊厳ある生活を支援するために必要とされる認知症看護の専門性と役割について時間)
●認知症基礎病態論
脳の機能、記憶・認知の仕組みから認知症を学びます。脳の構造と機能、認知症発現のメカニズムを踏まえた上で、中核症状とBPSD、認知症の経過についても学習します。
●認知症病態論
認知症や認知症様の症状を来す疾患・病態、および治療・ケア・予防について体系的に学習します。
●認知症に関わる保健、医療、福祉制度
認知症に関わる制度・法律を理解し、各制度・法律に基づく組織的活動の概要について学びます。

■専門科目(150時間)
●認知症看護倫理
認知症者に特有な倫理的課題を多角的かつ構造的に捉えて、問題解決に向けて対応できる能力を養います。
●認知症の原因疾患と経過を踏まえてコミュニケーション能力をアセスメントする方法を学びます。コミュニケーションの原則とアセスメント結果に基づいて、認知症者とのコミュニケーションが展開できる能力を養います。
●認知症看護援助方法論(Ⅰ)アセスメントとケア
認知症者の状態を多方面にアセスメントできる能力を養います。アセスメントの結果から生活面への支障を予測し、生活機能維持・向上に向けたケアに結びつけることができるよう学習します。
●認知症看護援助方法論(II)生活・療養環境づくり
認知症者にとっての環境の意味を理解した上で、認知症の特性を踏まえた生活・療養環境の調整方法を学び、安全で快適な生活環境づくりが実践できる能力を養います。
●認知症看護援助方法論(III)ケアマネジメント
認知症の発症から終末期までの経過に対応し、認知症の特性に応じた生活への援助をマネジメントできる能力を養います。また、認知症ケアにおける組織内外の連携についても学習します。
●認知症者と家族の特徴について理解した上で、介護状況と家族関係をアセスメントできる能力を養います。家族アセスメントを踏まえて、認知症者の家族への支援方法の立案について学びます。

■認知症者の事例についてアセスメントし、多職種との連携・協働を含めた看護計画を立案します。
●認知症者の特性を踏まえ生活支援を基盤とした技術の実際を学び、実施するための知識・技術を身に付けます。また、認知症者の心理・行動の意味を理解し、ニーズに適切に対応できるコミュニケーション技術を身に付けます。">
●演習(III)指導・相談
指導の展開として、看護職である対象をアセスメントした上で、認知症に関する研修会をシミュレーションします(企画・実施・評価を含みます)。また、看護職者に対する相談対応場面のシミュレーションをします。
●臨地実習で立案・実践した看護計画について、文献検討を踏まえて総合的な認知症看護の実践につながるようにまとめます。
●今までの講義や看護実践を通し、認知症看護における自己の課題分析を行い、今後の活動の場において認知症看護に関わる自身の活動の在り方をプレゼンテーションします

■臨地実習(225時間)
認知症者への深い理解と認知症看護認定看護師としての専門的実践能力、認知症者と家族に対して、倫理的・心理的・社会的配慮ができる能力を養います。また、認知症ケアの実践において、多職種との連携・協働、資源の活用についても学びます。認定看護師の始動・相談の役割を理解し、看護職を対象にした研修会の企画・実施・評価を行い、相談対応の一部実践・評価をします。

■全体ケースレポート発表会(全学科合同)
臨地実習やこれまで教育課程で学んだ成果を全学科の学生が共有する発表会です。1日目は全員参加のポスターセッションを行い、2日目には各学科から選出された学生の口演発表を行います。自身の専門分野の学びを他者に効果的に伝えること、企画・運営やポスター制作などの発表準備を学生主体で行うことは、学会発表など今後の認定看護師としての活動にも役立ちます。

卒業生の声

6期生 佐々木 美幸(八潮中央総合病院)
病院に入院されてくる認知症患者様が、急な環境の変化になじめず、混乱し戸惑っている場面に多く関わってきました。また、ご自分がおかれている状況を理解しようとして起こす行動を異常行動と判断され、安全のためにという理由で身体拘束をされてきた場面も見てきました。しかし、本当にその手段しかなかったのか、私たち看護師のケアで身体拘束を回避でき、落ち着いた入院生活を送ることもできるのではないかという思いから、認知症看護認定看護師を目指しました。全国から集まった仲間と過ごした半年間は財産であり、私の今後の励みでもあります。入学しなければ出会えなかった仲間や全国の認知症看護認定看護師の方々とのご縁を大切にしていきたいです。現在は、学んできた知識と認知症患者様の起こっている現象を照らし合わせながら、少しずつ活動をしています。病院という環境下ではありますが、認知症患者様とご家族との出会いを大切にし、お一人お一人とじっくり向かい合い、何を思って、何を望んでいるのかを考えながら関わるようにしています。そして、認知症患者様が安心した入院生活を送ることができるためにはどのようにすることが最良なのかを考えながら今後も活動していきます。