皮膚・排泄ケア学科
皮膚・排泄ケア学科とは
皮膚・排泄ケアの専門性はストーマケアを基盤として始まり、次第に創傷ケアや失禁ケアへと拡大してきました。ストーマや瘻孔周囲の皮膚に対して行われてきた皮膚の保護や皮膚障害への対処によって開発された知識や技術が、排泄物による皮膚障害だけにとどまらず、褥瘡や慢性潰瘍への対処や予防に活用できたことから発展してきました。スキンケアは、皮膚・排泄ケアの領域すべてに共通し基礎となる部分であり、健康を害した皮膚ならびに皮膚障害のリスクの高い脆弱な皮膚に対し、健康を取り戻すことを目的としています。
また、排泄は人間の基本的ニーズであり、身体の機能低下や社会生活を制限する排泄障害に対して苦痛を取り除き、尊厳を保ち、生きる意欲や人間らしさを取り戻すためのケアを専門的な知識・技術を用いて援助することを目的としています。
学科の特徴
本学科は、皮膚・排泄ケア領域における水準の高い看護実践を中心に、医療チーム活動において役割モデルを果たせる認定看護師の養成を目指しています。カリキュラムは、「創傷管理」および「排泄管理」を要する患者とその家族のQOL向上を図れる看護実践能力と、看護実践を通して他の看護職者に対して指導・相談ができる能力を育成する構成になっています。
「創傷管理」は、治癒環境が特に重要な要因となる褥瘡、下肢潰瘍や瘻孔などの慢性的な創傷が主であり、局所に対しては清浄化やドレッシング法を行い、全身に対しては適切な栄養摂取へのケア・物理的負荷の管理を行います。
「排泄管理」は、オストメイトが持つ問題解決のため、局所ケアはもとより、アプライアンスの選択、ストーマ受容までのプロセスの援助、生活指導等を行います。また、失禁患者に対し、排尿障害及び排便障害の知識を基に失禁のアセスメントを行い、失禁と失禁に伴う問題の改善を促します。
カリキュラム概要
| 共通科目 | 150時間 | 専門基礎科目 | 60時間 |
|---|---|---|---|
| 看護管理 | 15 | 皮膚のアセスメントとケア | 30 |
| リーダーシップ | 15 | 精神面のアセスメントとケア | 15 |
| 文献検索・文献講読 | 15 | 栄養のアセスメントとケア | 15 |
| 情報管理 | 15 | ||
| 看護倫理 | 15 | ||
| 指導 | 15 | ||
| 相談 | 15 | ||
| 対人関係 | 15 | ||
| 臨床薬理学 | 15 | ||
| 医療安全管理 | 15 |
| 専門科目 | 225時間 | 演習 | 150時間 | 実習 | 225時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 皮膚・排泄ケア概論 | 15 | 演習 | 150 | 実習 | 225 |
| 排便機能に破綻をきたす病態の理解と評価 | 30 | ||||
| 排尿機能に破綻をきたす病態の理解と評価 | 30 | ||||
| ストーマケア | 30 | ||||
| 排泄ケア | 30 | ||||
| 創傷の病態と治療 | 30 | ||||
| 創傷アセスメントと管理 | 60 |
総時間数 810時間
■共通科目(150時間)
共通科目では、認定看護師という専門職業人としての看護職に必要な共通の能力を養うための科目で「看護管理」「リーダーシップ」「文献検索・文献購読」「情報管理」「看護倫理」「指導」「相談」「対人関係」「臨床薬理学」「医療安全管理」の10科目を履修します。これらを学ぶことによって認定看護師の基盤となる専門的知識を学び、専門基礎科目・専門科目で得た知識を看護現場において具体化していくための能力を身につけます。授業は講義形式のほか、学科を越えたグループワークによって、他分野との交流や多角的な視点で自らの看護実践を振り返る機会にもなります。
■専門基礎科目(60時間)
皮膚・排泄ケアのスキルに不可欠な皮膚のアセスメントとケアを始め、ストーマ用品や失禁用品などデバイスを中心としたアプライアンス基礎の最新知識を得ます。また、機能の喪失から障害受容までのプロセスに応じた対処行動を探るために危機理論、ストレスコーピング、リハビリテーションについて学びます。そして、創傷管理から排泄管理に必要な栄養生理学に関して学びを深めます。
■専門科目(225時間)
●皮膚・排泄ケア概論
皮膚・排泄ケア認定看護師の基本となる概念や歴史、緩和ケアやリスクマネジメントなどの学びを深めます。その他、褥瘡管理の評価や診療報酬関連の知識を加えながら、医療チームにおいて戦略的に活動するための方法について学びます。
●創傷管理
創傷の病態と治療では創傷治癒の基礎知識として皮膚の解剖生理、治療遅延の内的、外的因子および、治療過程や手術療法について学びます。創傷アセスメントと管理では褥瘡をはじめ下腿潰瘍や難治性の瘻孔・ドレーンの管理など根拠のあるケア方法について理解を深めます。
●排泄管理
排泄管理では排便および排尿機能に破綻をきたす病態を理解し、排泄障害のアセスメントができるようになるための基礎知識を学びます。
ストーマケアでは術前のケアから退院後の長期管理に必要な知識や実践方法を理解し、フィジカルアセスメントを中心とするストーマケアの技術、オストメイトのセクシュアリティについて学びを深めます。そして、消化器ストーマ、尿路ストーマ、小児のストーマケアについて、最新の治療の動向を加えながら学びます。
排泄ケアでは排泄障害および失禁の状態や要因にあったケアの展開方法について学びを深めます。また、失禁時のスキンケアについて、失禁ケア用品の種類や特徴の知識を加えながら学びます。
■演習(150時間)
●皮膚・排泄ケア技術
皮膚・排泄ケア技術では創傷管理、排泄管理(オストミーケア・失禁ケア)が実践できるための技術演習を行います。創傷ケアでは、褥瘡予防のための体圧分散寝具の選択およびポジショニングテクニック、最新の創傷ケア技術やフットケア技術などを学びます。排泄ケアでは、患者の特徴に応じたストーマ用品の選択およびストーマサイトマーキング、状況に応じたストーマケアなどを学びます。また、失禁用品の選択と装着方法、失禁のアセスメントに必要な尿流量測定や残尿測定の実際などを学びます。
●プレゼンテーション
皮膚・排泄ケア領域における文献検索・講読およびクリティーークを行い、文献から得られた知見を活用できる能力を養います。さらに、認定看護師として教育・指導を実践する技術として、PC等を活用したプレゼンテーションや対象に併せた教育指導案の作スキルを学びます。
●ケースレポート
実習で受け持った事例をケースレポートとしてまとめ、発表します。専門的知識・技術に基づいて実践をレポートする能力、それを発表するプレゼンテーション能力を習得します。
■実習(225時間)
皮膚・排泄ケアの対象の問題を的確に判断し、質の高い看護サービスを提供できるためのケアの実践能力、指導能力、スタッフからの相談能力を養います。
■学内ケースレポート発表会(全学科合同)
各分野の臨地実習やこれまで教育課程で学んだ成果を全学科の学生が共有する発表会です。学科で選出された学生の口演発表では他分野の認定看護師の役割や成果を学ぶことができます。また、全員参加のポスターセッションを行い、ポスター作製や発表準備は卒業後の学会発表の学びの場となり、今後認定看護師としての活動に役立ちます。
WOCN教育の特色/卒業生の声
19期生 河野真由子
私は、高齢者施設で勤務する中で、スキントラブルの対応に苦渋する事が多く、この問題を改善したいと思い認定看護師を目指しました。
入学後、著名な先生方による専門的な講義や演習は、最新のことが習得できて毎日が新鮮でした。世界創傷治癒学会の参加は、グローバルな視点から世界の情報を得ることができ、大変刺激を受けました。しかし、皮膚・排泄ケア領域の対象者は小児から高齢者と幅広く多岐に渡る為、全ての分野の知識や技術を吸収することはとても難しい事でした。そのため、自分の選んだ道に自信をなくした時期もありましたが、先生や仲間が支えてくれたお蔭で、乗り越えることができました。今は、偉大な先生方や、最高の仲間と出会えた事に感謝の気持ちでいっぱいです。
この研修で、皮膚・排泄ケアは局所ケアだけではなく全人的なケアであり、看護過程の展開では論理的思考の重要性を学ぶことができました。これからは学校で学んだ知識や技術を自施設のスタッフに還元しながら、患者さんに対してより良いケアを実践していきたいと思います。
19期生 大平敬子
私は看護研修学校で学ぶ機会をいただけことに本当に感謝しています。尊敬する教員、高明な講師の方から最新の知識・技術を学ぶことが出来た7ヶ月は本当に楽しく、新しい発見の毎日でした。
何よりも支えになったことは、全員が同じ志を持ち常にクラスが一つとなったことでした。様々な経験を有する30人がそれぞれの強みを生かし積極的に講義や演習に取り組むことで、笑顔が絶えない明るい環境の中、楽しみながら学ぶことができました。また、教員の先生方は常に私たちに心を配り、温かく、時に厳しく成長を見守ってくださいました。そんな温かなクラスだったからこそ、誰かが問題を抱えた時は全員が一つとなって課題に立ち向かい、乗り越えられたのだと思います。
研修学校で出会った仲間と多くの経験は一生の宝物になりました。これから悩むこと、壁にぶつかることもあると思いますが、認定看護師を志した初心と支えてくれる人への感謝を忘れず、認定看護師教育課程で学んだ経験と絆を大切にしながら積極的に活動していきたいと思います。