トップページ >
日本看護協会は、2007年から「看護職確保定着推進事業」に取り組み、「働き続けられる職場づくり」に取り組む看護管理者を支援しています。
日本看護協会の「病院看護実態調査2007(速報)」によれば、確保定着対策として「多様な勤務形態の導入」の効果があったとの回答が70%にのぼり、様々な取り組みのうち最も有効だとの結果になりました。
日本看護協会は、看護職の働き方に、働く人のワーク・ライフーバランスに配慮した、画一的でない働き方(ここでは「多様な勤務形態」)を導入するよう呼びかけます。
働く個々人にとってはフルタイムの交代制勤務以外の働き方を選べることが、仕事と生活とを調和させ、働き続けるうえでのポイントになります。特に、より短い時間の勤務なら、生活とのバランスを損なわずにすむと考える人は少なくありません。
しかし、現状では夜勤を含む交代制のフルタイム勤務ができない場合、「パートタイマー」として正規雇用より劣った処遇の不安定な立場で雇用されるケースが多いのが実情です。
日本看護協会は「短時間正職員制度」の普及を呼び掛けます。働く時間の長短にかかわらず、専門職としての仕事の内容や責任・権限にふさわしい、働く人が納得できる処遇は不可欠です。
正規職員とパートタイマーの処遇の均衡化を進めてたどり着くのが「短時間正職員制度」です。日本看護協会は短時間働く看護職のよりよい処遇実現のために「短時間正職員制度」の普及を呼びかけます。
いわゆる「短時間正職員制度」は、通常のパートタイマーと異なり、正規雇用の職員(社員)に近い雇用形態です。具体的には、雇用期間の定めがないこと(常用雇用)、社会保険の適用、退職金の支給(正規雇用に定めがある場合)、昇進昇格、育児・介護休業の適用、教育訓練や福利厚生の適用などが正規雇用の職員と同等で、給与は正規雇用のフルタイム職員との勤務時間の違いを反映して設定されることなどがあげられます。より安定した雇用、仕事の内容や責任範囲・権限に応じた処遇を実現します。
短時間正職員とは、フルタイムの正職員より一週間の所定労働時間が短い正職員を指す。法律上で「短時間正職員」が定義されているわけではなく、企業・組織内において、このような働き方を制度化したものが「短時間正職員制度」。
| 契約期間 | 退職金 | 昇進 | 育児休業 | |
| 正職員 | 無期 | ○ | ○ | ○ |
| 短時間正職員 | 無期 | ○ | ○ | ○ |
| パート | 有期 | △ | × | △ |
(出典:厚生労働省雇用均等・児童家庭局の発表資料を一部改変)
改正パートタイマー労働法(2008年4月施行)は、正規職員より勤務時間が短い「パートタイマー」の処遇改善を求めるものです。いわゆる「フルタイム・パート」についても、改正法の趣旨に照らして厚生労働省の「指針」により処遇改善が求められています。法令順守はもちろんのことですが、これを機会に積極的な取り組みを検討してください。
医療界に劣らず人手不足が深刻な流通・サービス業界では、改正法の趣旨を先取りしてパートタイマーの正社員化が進んでいます。他産業分野の取り組みや「知恵」を医療分野でも生かせるはずです。
現在多くの保健・医療・福祉施設が看護職の確保・定着が難しい、と訴えています。これについて日本看護協会は、雇用者側が看護職の雇用のありかたを積極的に見直し、働き続けられる職場づくりに向けて取り組むことが有効であると考えます。
従来ほとんどの病院では、看護職の正規雇用を「交代制勤務(特に夜勤)ができて、残業もいとわない」働き方が可能な人に限り、このような働き方を続けられなくなれば職場を去らざるを得ない現状がありました。
日本看護協会は、このような硬直した雇用のあり方が、多くの働く意思と能力がある看護資格者を、看護の仕事から遠ざけ、いわゆる「潜在看護職」にしてしまった大きな原因だと考えています。このことが、「看護職の確保難」状態を恒常化してしまったのです。
ご紹介した事例の収集時点(2007年12月)では、短時間の勤務を「非常勤」「パートタイマー」と位置付けている事例が多いのですが、改正パートタイマー労働法の施行(2008年4月)を機に、これから正規職員とパートタイマーの処遇の均衡化が加速すると見られます。
本会では「短時間正職員制度」がそうした処遇均衡化の到達点となる雇用形態であると位置づけ、普及を目指しています。今回の「多様な勤務形態の先行事例」ヒアリング調査でも、すでに導入している事例があります。ご注目ください。