お知らせ

協会ニュース2017年4月号

6月7日 千葉県・幕張メッセで開催  平成29年度重通常総会提出議題特集

未来をつくる看護の力、地域の創造的変革者であれ

日本看護協会会長  坂本すが

2011年に日本看護協会の第12代会長に就任し、3期6年間を全力で取り組んできました。看護の変革に挑み、多くの政策を実現できたのは、会員をはじめ全国の看護職一人一人の力によるものです。

これから私たちが直面する大きな壁は、団塊の世代が全て75歳以上となる2025年です。医療・介護ニーズが増大する時代をどう乗り越えるかは、看護の力にかかっています。15年に公表した「看護の将来ビジョン」では、療養の場が「病院から在宅へ」と移行する中、「生活」と「医療」両方の視点を持つ看護職が、地域包括ケアシステムの要になることを内外に表明しました。

今後、「地域が大きく変わっていく中で、看護職に何が求められているのか」という意識から、一段階ギアを上げて「看護職が地域を変える」という強い決意で取り組まなければなりません。

2017年度重点政策・事業

① 看護基礎教育制度改革の推進

2017年度は看護基礎教育制度改革を筆頭に挙げています。
なぜ看護師の基礎教育の4年制化が必要なのか。1つは圧倒的な教育時間の不足です。特に実習時間は30年前の約半分という危機的状況です。もう1つの理由は、患者の状態の複雑化や療養の場の変化への対応です。全ての看護師に高い能力が求められる中、最低4年の基礎教育が必要なことは明白です。
准看護師制度については、養成停止の取り組みを強化します。併せて、看護師と准看護師の役割を明確化し、資格名の明示や、准看護師は看護師等の指示を受けて業務を行うなど、保助看法の順守を図ります。

② 地域包括ケアにおける看護提供体制の構築

訪問看護の人材確保と質の向上は喫緊の課題です。15〜16年度に実施した「病院から訪問看護ステーションへの看護師出向システム」モデル事業の成果を基にガイドラインを作成します。
また、地域包括ケアは、高齢者だけでなく、子どもを産み育てる人々、子どもたち、障がいのある全ての人々が対象です。妊娠〜子育て期まで、切れ目のない支援へ、虐待予防や子どもの健全育成、NICU/GCU退院児の在宅療養支援に向けた助産師などの看護職の連携・育成にも取り組みます。
一方、地域の健康課題が複雑化・多様化する中、保健師に対する期待はますます高まっています。重症化予防などに資する看護提供体制と連携の在り方の検討を進めます。

③ 看護職の労働環境の整備の推進

政府の「働き方改革」は、看護にとっても絶好の機会です。働き続けることからさらに一歩進め、子育てなどで一時的に仕事の比重を軽減してもキャリアを積み重ねられる、より良い働き方を提案します。
今後は「病院で働く看護職の賃金のあり方」の導入支援を行うと同時に、介護施設や訪問看護ステーションなど、病院以外での看護職の処遇についての検討を始めます。

④ 看護職の役割拡大の推進と人材育成

本会は「特定行為に係る看護師の研修制度」が、在宅医療などの推進に向け適時・適切な医療提供に活用されるよう、推進していきます。
地域包括ケアでは、人々の傍らで活動する看護職の裁量の拡大が、安全で安心な療養につながります。さらなる役割・裁量の拡大に向けた検討が必要です。従来の認定看護師制度を見直し、特定行為研修を組み込んだ新たな認定看護師制度を再構築します。また、ナースプラクティショナー(仮称)制度の構築に向けて取り組みを開始します。
さらに、「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」の普及とともに、ラダーを活用した認証制度の設計も進めていきます。
これら重点政策・事業のほか、診療報酬・介護報酬の同時改定に向けた提言や、DiNQL事業、医療安全、地域の看護政策力強化と新会員情報管理体制「ナースシップ」の充実にも引き続き取り組んでいきます。

おわりに

会員をはじめ全国の看護職の声は、国民の健康と幸福に資する政策を創り、地域の未来さえも変える力があると確信しています。これから、さまざまな場で活躍する看護職の皆さんに「地域の未来をつくっていく、創造的変革者であってほしい」というメッセージを贈ります。