お知らせ

協会ニュース 2014年4月号

6月10・11日 愛知県・日本ガイシホールで開催 平成26年度通常総会提出議題特集

新たな時代に向かって舵を切る―看護の力を基盤に

会長 坂本すが
会長  坂本 すが

日本看護協会会長として2 期目も後半に入ろうとしています。
日本の経済情勢は依然として厳しい中、団塊の世代が75歳を迎える2025年に向け、さまざまな社会保障制度改革が進められています。これまで、どの国も経験したことのない急激な高齢化に対し、限られた医療資源の下で、日本の看護職がいかに挑んでいくのか、世界が注目しています。

お手本のない未来のかじ取りは責任重大ですが、今こそ本会が先手を打って、これから迎える新しい時代に向けて、基盤整備をすべきです。病院中心の医療から、地域・在宅医療が推進されていきます。看護も、病院や診療所など施設の中だけでなく「人々の暮らしと医療を支える」立ち位置へ、パラダイムシフトが求められます。

訪問看護等の機能強化:地域包括ケアシステムにおける看護職の役割

地域包括ケアシステムとは、地域の実情に適した医療・介護・予防・住まい・生活支援を、一体的に提供する体制です。患者の早期退院や社会復帰を支援し、住み慣れた地域で最後まで暮らし続けられる社会を実現するのが狙いです。

高齢者の主な疾患である、がん、心疾患、脳血管疾患、認知症などは、短期間の入院治療で完治するというよりも、慢性的で緩やかな経過をたどります。看護職には、患者の入院前から退院後の生活を予測し、QOL(患者にとっての最善)の向上を目指し、病院内だけでなく在宅での生活も見据えてチーム医療を動かしていく力が期待されます。

本会は訪問看護の大規模化・多機能化を推進し、2014年度診療報酬改定で新設された「機能強化型訪問看護ステーション」の設置を促進するとともに、管理者の経営能力の強化を図ってまいります。

労働環境の改善:医療施設支援とナースセンター強化

医療提供の在り方が「病院・施設から地域・在宅へ」と転換する中で、病院だけでなく、あらゆる勤務環境における看護職の労働環境・労働条件を整えていかなくてはなりません。多様な勤務形態の取り組みも進んでいますが、夜勤・長時間労働などの問題は依然解決されていません。医療介護総合確保推進法案(以下、一括法案)で提起されている「医療機関の勤務環境改善マネジメントシステムの創設」など、法案成立後、積極的に活用していく戦略が必要です。

2014年度は第5 次NCCS( ナースセンター・コンピュータ・システム)の開発、ハローワークや地域の医療機関などとのネットワーク強化による人材確保も検討します。

その動きとともに、本会では労働と看護の質データベース(DiNQL)事業を2014 年度より重点政策・事業として着手しています。看護実践をデータ化・可視化することで、看護管理者のマネジメントに貢献し、さらにそこで抽出されたエビデンスを基に、政策提言につなげることを最終目的としています。

役割拡大:「特定行為に係る看護師の研修制度」施行に向け

2月に「特定行為に係る看護師の研修制度」が一括法案に盛り込まれ、閣議決定されたことは、看護界にとって歴史的な一歩となりました。現在、国会審議中の段階であり、法改正後、施行までに研修内容などが詰められていきます。看護師の安全が守られた上で、効率的な医療を提供できるよう、制度の現場へのスムーズな導入を推進してまいります。今回の法制化はゴールではありません。増大・多様化する医療・介護ニーズに対応するため、さらなる役割拡大に向けた検討・提言を続けていきます。

医療計画の策定が進められていく中、地域包括ケアシステムにおいて、看護職には大きな期待が寄せられています。保健師、助産師、看護師それぞれの役割を明確にし、実践能力を強化して、多様な場であらゆる人々に対して質の高い看護が提供できる人材の育成を目指していきます。

組織を強化し、国民のニーズに応える

近い将来、病気を抱えながら働く人や、病院と在宅での生活を行き来する人が増えると考えられます。看護職にはそうした人々を支援していく役割があります。看護の原点は、生活を基盤にしたケアの提供であり、基礎教育から学んできたものです。社会の変化は、私たちの能力を最大限に発揮できる好機なのです。

本会では、看護職が看護の仕事に対する誇りや、やりがいを認識し、生涯にわたって働き続けられるように「看護の将来ビジョン(仮称)」の検討を進めています。将来の看護職に求められる役割や看護の価値を社会にも発信し、そのために何を行っていくかを明示していきます。

看護政策を実行に移すために、日本看護連盟や看護系議員をはじめ多くの関係者と連携し、協働して成し遂げていくプロセスを繰り返しながら、体制を強化してまいります。

これからは、さらに地方分権が進みます。地域の実情に応じた看護政策に新たな財政支援制度(基金)を活用していくことが必要です。都道府県看護協会の地方行政への参画を支援していくために、本会との情報共有、連携体制をより一層強化していくことが重要です。

2025 年まで、あと11年。もう待ったなしです。今まで経験したことのない未来に向けて、看護が能動的にかじ取りができるよう、私も前進を続けてまいります。