月刊『看護』2012年5月号より

4月は新卒看護師を迎えて、また人事異動も行われる時期である。新人等は集合研修を終えて病棟等の配属先でOJTが開始される。新人スタッフは緊張して、まだまだ業務に慣れず、プリセプターや教育担当者はハラハラしながら新人を指導している。2年目のスタッフも一人前の看護師として扱われ、リーダー業務やさまざまな役割が任されるようになる。このような時期、特に4月から6月にかけて、医療安全と同時にスタッフの安全衛生管理に注意する必要がある。メンタルヘルス、脳・心臓疾患、夜勤明けでの交通事故、そして医療事故。対策の基本は、部署全体でスタッフ一人ひとりの健康を気にかけていくこと。そして可能な限り超過勤務をしない、させないことである。能力を超える過大な役割・責任で潰れないように、作業管理、労働時間管理を行うことが必要である。そうしたマネジメントを進めるためにも、看護師長のワーク・ライフ・バランスがとても大切である。

平成23年度先駆的保健活動交流推進事業では、市町村の保健活動の全容を明らかにするとともに、業務時間の試算や業務見直しのためのツール開発に取り組んだ。また、市町村の保健政策全体を見渡して、優先度の置き方や保健師の配置、人材育成等を検討するためには、統括保健師が必要で、そのあり方はどうあればよいか、まずは実態の把握に取り組んだ。規模の異なる6市町にヒアリング調査を実施し、統括保健師によるワークショップも開催した。今回明らかになった統括保健師の実態は、各自治体により各々異なっていた。2007年3月に出された「市町村保健活動の再構築に関する検討会報告書」における「統括的立場」として描かれた役割を大きく超える役割を担い、保健事業の優先度についても高度な判断を行っていた。一方、統括保健師の定義や配置の単位、必要な能力とキャリアパス等については、まだまだ今後の課題である。2012年度引き続き検討を重ねる予定である。

2 月末から3 月は認定看護師教育課程の修了式が集中した。2011年度に教育を実施した教育機関は21認定看護分野、50教育機関87教育課程であった。受講生は約1,950名、前年の修了率から計算すると約1,900名が修了する見込み。20代後半から50代まで多様な背景を有する受講生が学んだ半年間以上に及ぶ経験は、知識技術に留まらず、多くの出会いとつながりをもたらし、生涯において貴重な財産となるであろう。同僚や家族、所属施設の支援に感謝する声、これまでの人生でこんなに頑張って勉強したことはなかったという声は決して少なくない。次の関門は5 月の認定審査であるが、資格取得がゴールではない。それぞれの立場で、専門性を発揮する活動の場を自ら開拓し、患者ケアや施設のシステム改善など期待される役割の中で実践を積み重ね、成果を出せるよう願っている。学ぶことは自らの意思を持って自発的に行われる時に効果的に進むが、現場での活動は管理者を始め周囲からの理解や評価が大いに後押しになる。

現在84カ所の特定機能病院は、大学病院が80を占める。承認要件は、高度な医療提供、開発および評価、ならびに研修を実施する能力を有すること、紹介率30%、400床以上、人員配置は、医師が通常の病院の2倍、薬剤師は入院患者30対1、看護師等は2対1等々であるが、外形基準を満たせば申請が可能になる。申請を受理した厚生労働省が社会保障審議会医療分科会に諮り、承認されれば、特定機能病院となる。ご存知のように診療報酬上の優遇もあり、申請を考えている病院もあるだろう。しかし、この「特定機能」とはどんな機能なのか。「高度な医療の提供」は、特定機能病院以外の病院でも提供されているだろうから、違いが明確にあるのかという問題がある。特定機能病院の機能や役割を議論し、承認要件を見直す検討会が発足したが、本会が考えるこれからの医療提供体制のあり方や看護に求められる機能、そして国民の目線や利益を頭に置いて発言していきたい。

2012年3月3日(土)本会JNAホールで、院内助産システム推進ワークショップを開催しました。院内助産システム推進のためのシンポジウム等の開催は、4年目を迎えます。産科病棟の他科の診療科による混合病棟化は想像を上回る状態で進んでおり、混合病棟で助産ケアを提供することに対し、母子のケア不足や安全管理、感染管理、災害発生時の対応などの不安を抱えている管理者が多いことが指摘されています。そこで、今回のワークショップは、産科混合病棟における院内助産システムの推進をテーマにしました。35都道府県から109名の方が参加されました。そのうち25都道府県から助産師職能委員長や委員が参加し、産科混合病棟で働く助産師のモチベーション低下や新卒教育および継続教育の難しさも確認しながら、事例を用いて産科混合病棟におけるユニットマネジメントについてグループワークを行い、その課題と解決の方向性について共有しました。引き続き、産科混合病棟における院内助産システムの推進を図ってまいります。

がん対策基本法の「がん対策推進基本計画(変更案)」が出来上がり、厚生労働大臣に答申が終わりました。日本は超高齢社会になり、2人に1人はがんになると言われており、死にゆく病から慢性疾患へと、そのイメージが変化しようとしています。それらを考慮し、今後5年間の計画を決めたわけです。がんと診断された時からの緩和ケアの推進と小児へのがん対策、そしてがんになっても働き続けることができる社会をつくることが、重点的に取り組むべき課題として明記されました。がん看護の認定看護師、専門看護師の活動は具体的に基本計画に書き込まれ、診療報酬もつき、今後のさらなる活動が大いに期待されます。頑張ってください。今こそ、看護の力を発揮する時です。検診率は50%が目標値になり、成人の喫煙率の目標値は12%になりました。私が受動喫煙でいちばん嫌なのが、新幹線品川駅です。ホーム真ん中の8号車・9号車付近に喫煙所があり、息を止めて歩きます。抗議しようかしら。