日本看護協会とは

会長の手帳(日本看護協会 会長 福井トシ子)

月刊『看護』2017年10月号より

勇気と質の高い看護で看護の価値を示す

8月2日に第46回フローレンス・ナイチンゲール記章授与式が挙行されました。報道をご覧になった方も多いと思います。授与式では、日本赤十字社の名誉総裁であられる皇后陛下によって、御手ずから伊藤明子様に記章が授けられました。この記章は看護師に与えられる世界最高の名誉ある記章で、ナイチンゲール女史の偉大な功績を永遠に記念し、看護活動に顕著な功労のある方を顕彰する目的で授与されます。平時または戦時にあって、傷病者、障害者、または紛争や災害の犠牲者に対して偉大な勇気をもって献身的な活動をした方や、公衆衛生や看護教育の分野で顕著な実績、あるいは創造的・先駆的貢献を果たした看護師に与えるとされております。今回は世界22カ国で39名が受章し、日本からは伊藤明子様1名が受章されました。これにより、世界の受章者総数は1,488名、日本での受章者は108名となりました。

伊藤様は、紛争地域など海外での長年にわたる医療救援活動や、国内での災害支援活動においてリーダー的役割を務めた実績が高く評価され、受章されました。現在、名古屋第二赤十字病院の看護部長で、認定看護管理者でもあります。1988年に国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の要請を受け、ベトナム難民を収容したマレーシア国ビドン島に派遣されたのを皮切りに、ケニア、東ティモール、アフガニスタン、インドネシア、パキスタンなど各国で医療救援活動に従事してこられました。特にアフガニスタンやケニア等紛争地域での豊富な経験から赤十字国際委員会(ICRC)の信頼も厚く、各国赤十字のメンバーで構成される医療チームの事業責任者として数々の現場で指揮を執ってこられました。また、東日本大震災や平成28年熊本地震などの国内災害では、豊富な国際活動の経験を生かし、被災した病院を支援する「病院支援コーディネーター」として、支援病院のスタッフをサポートし、災害時の円滑な医療提供を統括する大役を果たされました。

今も世界の紛争は終わることがなく、多くの罪なき一般市民が犠牲になっており、また、頻発する同時多発テロの脅威にさらされている国も多くあります。一方で、地球温暖化の影響が懸念される中、世界中で自然災害が起こり、多くの人命が危険にさらされています。世界のあらゆる場で、医療が、そして質の高い看護が求められています。

伊藤様は「1人でも助けを必要としている人がいる限りは役に立ちたい」という博愛、卓越した行動力、偉大な勇気、さらに専門性の高い看護の経験をもって、国際救援・開発協力・災害活動に貢献できる人材の育成などに、よりいっそう尽力されています。伊藤様の受章を称えるとともに、私たちは、今いる場所で勇気と質の高い看護で、看護の価値を示してまいりましょう。

  • 月刊看護10月号 p.9 グラフ参照